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曾 愛迪さん(お茶の水女子大学)  
張 謹名さん(横浜国立大学)  
新原 永爾さん(テンプル大学ジャパンキャンパス)

(台湾出身)  


「台湾留学生達は全員私の子供」 日本の地震は「自分の傷」

 在日台湾留学生会(中華民国留日東京同学会)は、主に関東地域の台湾留学生約3000人を会員に持つ留学生会だ。普段は13人のスタッフを中心に、留学生の生活支援、奨学金情報の提供、交流活動などを企画・実施している。台湾留学生に限定した就職キャンペーン等もしている。
 今回、インタビューに協力してくれたスタッフの三人は事務所に週1~2回通いながら、家でも業務をこなし、24時間体制で留学生支援を行っている。現会長の曾愛迪さんは、「今年は地震のために春旅行や花火大会は全部キャンセルした」と話す。やはり東日本大震災によって受けた影響は大きいようだ。
 今回の震災で台湾から送られた義援金は、144億円(2011年4月24日現在)に上った。台湾の人々にとって日本とはどのような存在なのか。なぜかくも多くの支援が寄せられたのか。そこには、日本と台湾との歴史の中で培われた「絆」が、世代を超えて人々のなかに生きていた。震災時の留学生会の対応と、日本に対する思いを聞いた。


――地震の発生後にはどうしましたか。
  自分達のことは全然考えていませんでした。被災地の台湾留学生全員の安全を確認したかったので、私達は一週間ぐらい徹夜しました。
  被災地には31人の台湾留学生がいました。留学生を安全に避難させるために、バス会社に連絡したり、色々な協力を頂いたりして、最後には安全に東京に避難することができました。

――今は被災地の台湾留学生の方々はどうされていますか。
  ほぼ東北に帰りました。今週と来週にかけて被災地の留学生10人と会うことになっています。どうしても感謝の気持ちを伝えたいと言ってくれています。

――一週間ぐらい事務所に缶詰になって連絡を取り合っていたんですか?
  友達の友達や、ネット、Facebookを使い連絡を取りました。留学生会からの情報が台湾の新聞やニュースでも報道されました。

――留学生の中には再入国許可を取らずに帰国してしまった人もいたと聞いています。
  「成田空港に臨時窓口ができたよ!」といった情報をメーリングリストで流したので、台湾留学生は皆大丈夫だったようです。

――すばらしい働きですね。
 新原 台湾でなくても「家にいる」と留学生に感じてもらえたら素晴らしいと思います。
  台湾留学生達は全員私の子供と思っています。

――台湾の人にとっての日本とは?
  私個人の考えですが、台湾は昔日本の植民地で、70~80代ぐらいのお年寄りにとっては、水道や鉄道の建設などを行った日本が心の中にずっと残っています。そして若い世代にとっても日本は一番近い国であり、強い絆が心の中にあります。ですから地震が起こって台湾人は自分の傷のように感じました。私は一日でも早く日本が復旧できるように自分の力を尽くしたいです。
 私の弟は今、台湾の大学院の一年生で、アルバイトをしています。それほどお金持ちではないですが、今回の地震のあと義援金を寄付したそうです。若い世代でもそれほど日本に対する気持ちをもっていることに驚きました。やはり台湾と日本の間には絆があります。
  私の祖父と祖母も昔日本に留学していましたが、90歳になる祖父は100万円寄付しました。おそらく貯金の全部だろうと思っています。
 新原 親せきのおばさんは、台湾から500万円を赤十字社に寄付したようです。

――日本人として、ただただ感謝の気持ちです。今後の皆さんの活動目標は。
 新原 僕達にできることは、普通に生活できるようにすること、そしてこれから日本の経済が復興できるようにすることだと思います。
  それと留学生達の心を安定させることができるようにすることです。震災後には私の携帯番号を留学生たちに知らせておき、彼らは不安な時に電話してきました。毎日事務所にきて「大丈夫ですよ。私はまだ東京にいるから」と伝えました。台北駐日経済文化代表処の皆さんもずっと日本にいました。私達の会は、日本で、いや世界で一番しっかりとやっているという自信を持っています。




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