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ホ・ジンさん (韓国出身) 
(桜美林大学大学院博士課程) 


途上国の問題を解決したい  苦労した3年間の新聞配達


――日本留学のきっかけは何ですか。
 日本の作家の三浦綾子さんに興味があり、2006年に来日しました。本当は日本語学校を卒業したら、韓国に帰るつもりでした。しかし日本語学校に在学中、早稲田大学が主催していた国際開発などの市民講座に参加し、途上国の現状に関心を持ち、進学を決めました。大学院では、バングラデシュの子ども婚と妻が夫に渡すダウリー(持参金)習慣をなくすためのNGOの役割などを調査してきました。

――なぜバングラデシュの子ども婚などについて研究をされているのですか。
 修士課程1年生の時、バングラデシュのローカルNGOであるBRACの活動に参加し、本格的にバングラデシュの女性問題、特に子ども婚などの問題に関わるようになりました。バングラデシュの田舎の村では、10代前半の女の子でも親の意向で結婚させられてしまう習慣が残っています。また経済的に厳しい人達の間では、持参金を巡る殺人事件も起きているのです。将来はそういった途上国の問題を解決するために、働きたいと思っています。

――留学して得たものは何ですか。
 日本で他の国の留学生とも出会うことができ、バングラデシュや、自分の国のこと、またアジア人としてどう生きていくべきかについて考えるようになり、とても成長したと思います。

――日本留学で苦労したことは何ですか。
 日本語学校在学中から修士課程の1年生まで、3年間新聞配達をしていました。毎日3時間程しか寝ることができませんでしたが、素晴らしい店長に恵まれて学校のセミナーがあると、「あなたは留学生として頑張っているから」と言って仕事を休ませてくれました。また、現在はバングラデシュの文化にも慣れたのですが、初めてバングラデシュを訪問したときは、気候や食事が合わず病気になるなど大変なことが多かったです。その度に大学院の指導教員から「世界のどこでも、どんな仕事でも耐えられる強さがあなたにはある。新聞配達で経験した辛さ・大変さをあなたの体は覚えているのだから」と励ましてもらいました。ですから今は、新聞配達の経験は大変でしたが良い経験だったと思えるようになりました。

――日本の魅力は何だと思いますか。
 アジアの中で唯一の先進国になり、本当にすごいと思います。日本人はなぜこれ程真面目に頑張れるのだろうかと感じます。それに日本人には人を尊敬し、思いやる気持ちがベースにあり、他の国にはなかなか真似出来ないことだと思います。実は東北にボランティアに行ったのですが、とても驚いたことがありました。それは被害を受けた方達が、たくさんボランティアとして活動されていたことです。自分の家もめちゃくちゃになっているのに、もっと被害が大きかった人のために頑張っていて素晴らしいと思いました。こういった状況で落ち着いてやるべきことはやるという点を、留学生は学ぶべきだと思います。



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