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タニ ヤン さん (カメルーン出身) 
(湘南工科大学) 


アフリカに再生可能エネルギーを ハローワークで日本語学習


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――なぜ日本に留学したのでしょうか。
 カメルーンでは電力不足が大きな問題となっています。再生可能エネルギーの活用が問題解決に有効だと考え、技術力がある日本で勉強したいと考えました。また、祖父が国連の技術者として長年日本で働いており祖父にも薦められましたし、フランスやアメリカに行く知人が多い中、どこか特別な国に行きたいとも思いました。

――日本語の習得に苦労しませんでしたか。
 来日後日本語学校に通っていたのですが、実はハローワークで日本語が飛躍的に上達しました。当時アルバイトがしたいと思い、方々の会社に電話したのですが語学力の問題で断られてばかりでした。それでもアルバイトがしたかったので、毎日毎日ハローワークに通い詰めたのです。千葉県にある小さい町でしたので、ハローワークに通う外国人は自分一人しかおらず、「ヤンが来た!今日は学校で何を学んだの?」と、職員がとても暖かく迎え入れてくれました。連日職員と一緒にアルバイトを探す中で日本語も上達していったのです。ですから、「どこで日本語を勉強したの?」と聞かれれば、「ハローワークで!」と答えています。

――留学生活で印象に残っていることは。
 昨年、日本で第5回アフリカ開発会議(TICAD5)が開催されましたが、同時に実施された学生プロジェクトに参加しました。母国にいる父がわざわざTICAD5があることを電話で教えてくれことがきっかけです。学生プロジェクトでは、日本留学しているアフリカ人学生50名、日本人学生50名が経済問題などテーマごとにグループ分けされ、TICAD5で論文を発表しました。日本にこれだけアフリカ人留学生がいることに驚きました。
 2012年10月からガイダンスが始まり、昨年3月には横浜のホテルで10日間朝から晩まで議論やプレゼンテーションを行いました。地方への視察も行い、NHKの取材クルーも同行し私は大阪と兵庫に行きました。地元の企業に、アフリカに対するイメージや事業展開に関する考えを聞くことができ、とても刺激的でした。本番では、母国カメルーンの大統領や大統領夫人とお会いできた上、自分達の研究成果を発表できて信じられない体験でした。

――将来の夢は。
 再生可能エネルギーについて勉強し、その技術をアフリカに持って帰りたいと思っています。中央アフリカでは太陽エネルギーの有効活用が可能だと考えていますが、それを実現できる技術を習得した人材や材料がアフリカにはありません。カメルーンも農業などが有名ですが一次資源に頼った経済構造で、比較的裕福ではあるけれども技術がありません。現在アフリカは再生可能エネルギーの分野で、欧州との繋がりから様々なプロジェクトが動き始めていますが、私は日本との架け橋を作って貢献していきたいです。



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