Top向学新聞就職活動2016>久保田 優氏



久保田 優氏 
(筑波大学 キャリア支援室次長・学生部就職課長) 


興味を持つ「就活ワード」探し

 
 自分は何がしたいのかを知る事は就職活動の重要なスタートラインだ。今回は、「環境理解と自己理解」というテーマで筑波大学の久保田優氏にお話をお聞きした。


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適性を知る


――就職活動の本格的な開始を来年の春に控え、就活年次の学生は準備を始めている時期です。どのような準備が必要でしょうか。
 
 通常、自己分析→業界研究→企業研究という流れで就職活動を進めていくかと思いますが、本学ではそれらを行なう「環境理解」と「自己理解」を学生に勧めています。
 自己分析で陥りがちな傾向として、分析だけで終わってしまったり、狭い範囲に興味が絞られてしまうことがあります。そこで、「まず広く社会を見てみよう」というのが環境理解です。そして、社会を知り社会との関係性の中で自分を見つめ直し興味や関心を再発見することが自己理解です。環境を知らなければ自分の適性を知ることは難しいでしょう。業界・企業を知るだけに留まらず、実際の職場まで考えて「自分を活かせる場所・姿をイメージできる」ところまで目指します。自己分析からではなく、「環境理解」→「自己理解」という逆転の発想で、自分の思いにマッチした業界・企業・職種を見つけていくわけです。


就活ワード


――具体的にはどのように「環境理解・自己理解」を行えば良いのでしょうか。
 
 自分が興味を持つ「就活ワード探し」から始めます。例えば、本学が毎年開催する学内企業説明会に700社程参加して頂くのですが、その700社分の企業メッセージ一覧を学生に渡します。学生は700社分全てのメッセージをチェックして、気になるワードをピックアップしていきます。そうすると上場企業からベンチャー企業まであらゆる規模から自分の興味を持つ企業が集まったオリジナル業界・企業マップが出来上がるのです。
 また、この「就活ワード」には自分を表現するメッセージが詰まっています。このメッセージが自己理解となる訳です。学生の性格や興味によってマップのあり様は様々で、必然的にそれらの企業で働きたいという動機も直結します。他にも、テレビCMや商品のキャッチコピーなどあらゆるものを使って「就活ワード探し」をしてもらいます。
 特に留学生は、「日本留学」という一つのステップを経ているのである程度の自己理解が出来ているケースが多いですが、日本企業のことを知らないという課題があります。「就活ワード」から志望企業の幅を広げていくことが出来ます。

――「環境理解・自己理解」は就職活動の次のステップにどのように活きてくるのでしょうか。
 
 自分の「就活ワード」に沿って企業のホームページやパンフレットなどを研究してどんどん掘り下げていくと、他の人が分からない企業の魅力を発見します。実際に、それが志望動機となって面接でアピールし、「そんな所まで知ってくれているのか。かなり企業研究しないと分からないことだ」と面接官を驚かせた学生がいます。深い環境理解・自己理解が「熱さ」となって相手に伝わるのです。




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