トワムヤン・サンジャイさん (タイ出身)
(東京農業大学大学院博士課程)
高品質米の生産・輸出を研究 母国の貧しい人々を助ける
――日本留学を選んだ理由を教えてください。
私は母国のチェンマイメイジョウ大学で農作物の栽培や園芸の技術を学びましたが、農業経済や流通も学ぼうと思い日本留学を決めました。日本に来て1年間は日本語学校で学びましたが、そこで先生に東京農業大学を勧められ、まず研究生として入学することに決めました。
今所属している研究室を選んだのは、研究室のホームページにある、「地域における環境に配慮した農村貧困の軽減、農業近代化の方策に焦点を絞りながら研究を進めている」という内容にいたく共感したからです。現在私は、高品質なタイ米の輸出について研究しています。
――タイの農業の現状は。
隣国のラオスやミャンマーと比較すると水処理技術が進んでいるので、水不足の問題がなく、農薬の使い方も適切なので収量は安定しています。チャオプラヤ川周辺は典型的な稲作地帯ですが、河川周辺では収量は安定しているものの品質は低いです。いっぽう陸稲に関しては収量は少ないですが品質が高いのが特長です。最近ではタイの経済も豊かになり、人々はもっとおいしい米を求めるようになってきました。タイにおける米の年間消費量は一人当たり120kgで日本人の倍です。また、タイは農産物の輸出を経済の要としています。したがって、タイの農業が今後の国際競争で勝つためには、農産物の安全性や品質保証をさらに高めていく必要があるのです。国内外の需要を満たすため、より質の高い栽培・生産・流通をいかに行うかが今後の課題となっています。現在のプミポン王朝では、次世代と環境のために農薬や肥料を使わず、必要以上の農業生産活動を行わない「充足経済」という方針を打ち出しています。
――将来の目標は。
将来はタイに帰り、高校か農業専門学校の先生になって日本で学んだ知識を青少年に教え、「より豊かな農業の在り方」をともに考えていきたいと思っています。日本の農業を学んでみると、農家の人々と農業技術のレベルの高さが非常に印象的でした。タイにおいても、農業のレベルを発展させることで農村の貧しい人々を助けられるに違いないと考えています。