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李 亜範さん(中国出身) 
(特定非営利活動法人 在日中国人医師協会 理事) 


医学留学生に活躍の道を 制度緩和は日本にプラス

――現在日本の美容関係の会社で認定講師としてお勤めですが、もともとは日本の大学の医学部に留学されたのですね。
  私は日本の医療制度や保険制度に魅力を感じ、ぜひそれを学んで中国で活用したいと考え、1993年に1年間の笹川医学奨学金の医学研修生として日本医科大学に留学しました。その後、事情があって大学を辞め、日本で仕事をするようになりました。
  日本に留学に来る医学系の学生の多くは母国で医師資格(医師免許)を持っており、大学を出てから臨床経験を積んだうえで、さらに専門知識を身につけようと学位を取るために日本にやってきます。途中で日本が好きになり医師として就職を希望する方も多いのですが、外国人は母国で医師免許を持っていても、日本の医師国家資格がなければ日本での医療行為はできないのです。
  医師国家試験にはまず予備試験があり、日本人も含めて数%の人しか合格できません。そのあとに本試験がありますが、合格するのに何年もかかるのが一般的で、準備しているうちに年齢が高くなり就職は厳しくなります。このように、たとえ日本人と同レベルの知識と技術を持っていても日本ではほとんど医者になることはできないので、せっかく大学院で高度な知識を学んでもその内容を日本で生かせる場は限られているのです。医学部留学生の3分の2は帰国し、残りが日本の大学で基礎研究を行ったり研究所や製薬会社に勤めたりしているのが現状です。
  私は日本に来る前に、そういった日本の医師免許制度の厳しさは知りませんでした。日本で医療行為をしようと思えば、現実的には日本の医学部に入りなおす必要があると感じ、結局私は企業に就職するか帰国するかという選択肢の中でさんざん迷うことになりました。
  例えば日本に長くいてから帰らなければならないとなると、戸惑いを覚える人も多いようです。昔のように学位をとれば母国でポストが用意される時代ではなく、家庭を持ち子供がいる場合は、競争社会の中国と日本とでは教育環境が全く違いますので、いまさら中国に連れて行って子供が溶け込めるのかという問題に直面します。もともと医療関係で日本に留学する人は、すでに医者として活躍していた人が多いのです。中国の医学教育では臨床経験を重視しますので、日本の医学部よりも多くの臨床を経験しますし、修了後の臨床経験の数も大きく違います。経験に裏打ちされた技術では日本の医師に負けない内容を持っているのです。ですから例えば医師不足に陥っている地方などで、彼ら本来の医師としての力を活かせる場を提供していただければ、活躍できる人材は相当数存在するに違いありません。一定期間日本にいた留学生ですから言葉も心配ないのです。日本の医師免許制度をもし緩和することができれば、日本にとってプラスになると思います。

――在日中国人医師協会ではどんな活動をしていますか。
  日本と中国の医学交流と協力合作に貢献しようと、学術講演会を開催したり、在日医学関係者の進路の相談窓口などを設けたりしています。今年4月には中国・武漢において、中日の第一線の研究者を集めてエイズ研究のシンポジウムを開催しました。先端的な知識を交換する場となり、中日両国の先生からぜひまた続けて欲しいとの要望を頂いています。両国および世界の問題を共有し、今後も優れた医療技術や方法論を相互に吸収していければと思っています。また、日本社会にも貢献したいと考え、ある財団法人からの助成をいただき、皆が持っていた医学の知識を生かして、在日残留孤児のための健康相談などの支援活動をしようと今企画しているところです。



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