Top向学新聞日本で働く留学生OBたち>キッシュ ラヨシュさん


キッシュ ラヨシュさん(ルーマニア出身) 
(大成建設株式会社) 


自分らしさを守ることは大事  社会に貢献し業績を残したい

――留学生時代から今までを振り返っていかがですか。
 私はルーマニアの大学を卒業後に秋田大学で博士号を取り、その後秋田県立大学で3年間研究しました。国籍はルーマニアですが民族的にはハンガリー人です。約10年間日本にいますが、自分のアイデンティティは失わないようにし続けてきました。海外に住んでも完全に変身する必要はなく、むしろ自分らしさを守ることは大事なことです。日本で仕事をしてから、どの程度「日本人社員のようになる」必要があるのか考えましたが、完全に変身すると自分を見失います。文化のアイデンティティを完全に失いながら幸せに暮らすことはできません。長所と長所をいかに組み合わせていくかが大事であり、私はハンガリー人としての長所と持ち味を活かしていきたいと思っています。今では日本文化と自文化とのバランスのとり方も見出せました。

――卒業時に自分の進路をどのように決めましたか。
 私は博士号を取得する前に進路について考えましたが、大事な人生に影響を及ぼす決断になると思い、数ヶ月間にわたって熟考を重ねました。その後、研究よりももう少し社会に積極的にかかわり、世界に影響のある仕事で明確な業績を残したいと思うようになりました。留学生の皆さんは自分の進路をあまり急いで決めてしまわないほうが良いと思います。就職活動の前に、どの地域のどの企業で何年働きたいか、本当にそれをしたいのか深く自問自答してみる必要があります。そういう大事なことほど早くから考え始めたほうが良いのです。
 実際に就職活動をする際には、留学生向けの就職セミナーやジョブフェアが本当に役立ちました。履歴書の書き方や面接でどんな表現を使うべきかを先生やOBの方が教えてくれたのです。外国人向けのものにはぜひ参加したほうが良いと思います。
 私は研究者の立場から就職し、普通の新卒の方とは全く違う道をたどってきました。JSPS研究員としての3年間が終わる前に、教授になるか、あるいは専門知識を企業で活かすか考えました。社会にどう貢献できるかという観点から考えた時に、企業に入ったほうが貢献できると思うようになり、その後留学生OBの先輩から今の仕事を紹介されたのです。本当に貢献できると思えるものを見つけるまでには時間がかかります。私の場合は見つかるまでそれまでやっていた研究を続けました。見つかった時に備えて、知識や経験を蓄積し活用できるようにしておくべきです。

――納得できる進路を見つけたわけですが、仕事への思いは。
 いまは「業績を残したい」との強い思いをもって仕事をしています。



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