IFSAは外国人留学生のための様々な情報提供、就職・転職支援(日本人海外経験者含む)までを行う非営利団体です。

かく 仁平 氏

Top向学新聞内外の視点かく 仁平 氏


かく 仁平 氏 
(東洋大学経済学部国際経済学科教授) 


積極的な留学生誘致対策を   留学生を情報の発信源に

 大切なことは、日本の情報を中国へ発信することです。
 私は毎年、中国に帰って研究調査をしています。そこで感じることは、昔も今も日本留学に関する情報が非常に欠けていて相変わらず進んでいないということです。留学希望の学生は日本にはどんな大学があるのか、どんな分野の先生がいて、どんな学部があるのかを知りたいのです。しかし学生が母国で入手できる情報は非常に限られています。もちろんホームページなどで調べることはできますが、日本の大学の仕組みが分からないので、いきなり特定の大学のホームページを探すということはしません。結局、多くの学生は日本の日本語学校に行ってから初めて日本の大学に関する情報を得るのです。
 また、日本留学の場合は日本に来ないと留学の手続きも出来ません。一方で米国留学の場合は、米国の大学に母国から成績証明を申請して留学の許可を得ることや奨学金の手続きまで出来るのです。このシステム上の違いは日本に優秀な留学生を迎える際の弊害になっていると思います。
 中国政府は留学生を人的資源として考えています。人的資源獲得に関して、米国と比べると日本はかなり遅れています。米国では有名大学をはじめとして、留学生の誘致工作を行っています。しかし日本の場合は留学生の誘致を行っている大学はかなり限られています。優秀な人材をどうやって日本に取り入れるのか、まだ対策が弱いと思います。
 今後、日本がアジア地域でリーダーシップを発揮していくためには積極的に留学生を誘致すべきではないかと思います。留学生は日本で学んで卒業後それぞれ進路は異なりますが、いずれは母国に帰っていく人が多いと思います。3~4年間の留学生活を経験しているので、留学生は観光客より日本に対する理解が深いです。このようによく日本を理解した留学生が母国で活躍し日本のことを伝えることで日本のイメージが徐々に広がっていくことは非常に大きな影響があると思います。
 なぜなら国をつくっているのは人です。他国が日本に抱くイメージはその国の国民の一人一人のイメージが集まったものだと思います。だからある国に対して一人の国民がどういうイメージを持っているのかが非常に大切なのです。
 留学を経験した学生に意見を聞くと、現地で生活しその国の人と交わることで今まで抱いていたその国のイメージが変わると話していました。国家間にある互いの国のイメージは留学生というソフトパワーで変えらるのです。留学生は単に労働力確保や大学の定員確保のためだけではなく日本の文化、社会、教育、技術を海外に発信できる情報の発信源になると思います。このことをどれだけリーダー層が大切にしているのかが重要だと思います。私は今後多くの留学生を迎え入れるために、消極的に留学生を受け入れるという姿勢ではなく、留学生に来て頂くという姿勢が必要だと思います。


かく じんぺい 
 中国出身。1982年中国西北大学経済学部卒。1998年一橋大学経済学研究科博士課程単位取得満期退学。経済学博士(一橋大学)。専門は理論経済学、経済統計学、経済史。


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