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クマール バスネットさん

Top向学新聞今月の人クマール バスネットさん


クマール バスネットさん (ネパール出身) 
(上智大学大学院博士課程) 


コンピューターつなぎ高性能化  発展途上国で生きる技術

――研究内容について
  私の専門は分散コンピューティングで、LAN環境を使って様々な回路を解析することがその内容です。今みなさんはスーパーコンピューターというものをよく耳にすると思いますが、それは計算の速さと確実さが普通のコンピューターと比べて100倍や50倍と非常に高性能なもので、複雑な回路計算も難無くこなします。しかし値段が1000万円以上とかなり高価で、誰にでも容易に購入できるものではありません。そこで私が考えたのは、大学などの研究環境の中に既にあるコンピューターの能力を集めて使用率の少ない夜中などに計算すれば、ある程度スーパーコンピューターと同じような性能のものができるのではないかということです。例えば一つ回路を解析したいときに、解析のための計算をいくつかのコンピューターに分担させて答えを出すとします。すると実際に一台のコンピューターで計算するより速く、確実な結果が出るのです。コンピューターはLANでつなぎ、市販の普通のコンピューターでも十分使用可能です。大学などLAN環境がすでに作られているようなところでは、それらをそのまま使えるのが大きな利点となっています。
  この内容はまだあまり研究されていない分野です。米国なら研究に資金を投入し多種多様な研究を行っていますが、日本だと今までやってきた研究をそのまま継続していく場合が多いのです。ですから最新の研究は自分でがんばって開拓していくしかありません。
  しかし研究するうちに学んだのですが、これはあまりお金のない発展途上国にも実現可能な内容なのだということです。ネパールで大がかりな研究はできないとしても、日本で身につけたノウハウを持って帰ればそれを実用化できる可能性は大いにあるのです。

――将来はどうしますか
  ネパールでは大学の卒業生は先生になる場合も多いですが、社会的に見て高い立場であっても教職だけでは食べていけませんので、2つの仕事を持っているケースが多いです。ですから私は、ITを教える先生になりながら、何かもう一つIT関連の仕事に就きたいと思っています。

――来日後感じたことは
  日本の教育制度はプラクティカルな勉強をできるところが良いですね。ですから例えば中学校卒でも高校卒でも、技術的な仕事をしようと思えばできるし、就職先もあります。高校卒の時点でかなりのことを勉強し終えていますので、あえて大学に行って勉強しなくてもそんなに大きなハンディは生じないと思います。ネパールの場合は本を読んで覚え、試験を受けて合格するという暗記型の教育ですから、後で皆が「勉強したのに簡単なことでもわからない」ということを感じるのです。
  また、ネパールにいたとき日本人はみんな親切で勤勉で幸せそうに見えたのですが、実際にこちらにきてから個人主義が非常に強いことに気がつきました。みんな自分のことばかり考えていくうちに、両親や兄弟などを大切にすることを忘れてしまっているのではないかという気がします。ネパールは発展途上国で様々な問題はあるのですが、家族や友人、先生方を非常に大切にします。自分が親に対して親切にすれば、自分の子供も自分に対して親切にしてくれるでしょう。もし自分が親をぞんざいに扱えば、自分の子供も自分を適当に扱うだろうと思います。もう少し家族愛というものをわかってほしい気がします。


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