Top向学新聞今月の人ヘイン スウォーさん


ヘイン スウォーさん (カンボジア出身) 
(早稲田大学アジア太平洋研究科) 


発展のポイントは教育  日本に学ぶ「人の開発」

――留学のきっかけは。
  私はカンボジア財務省に勤める公務員で、母国の発展に備えて日本語を勉強するために留学しました。カンボジアは開発途上国なので、政府は日本が発展した理由を研究してカンボジアの文化を土壌としながらそれを吸収し経済発展を成し遂げたいと考えています。
  私は日本の経済発展のポイントは教育にあると思います。日本では高等教育を受けている人が多いので大人になればみな頭の回転も早く、日本人が欧米の工業国に行ってもすぐに技術を吸収することが可能です。ですから一番大切なことは、人間の開発なのです。日本は200年前から人々を教育するため多くの学校を作り、多くの学生を海外に留学させ、国に帰る時には大きく用いたわけです。そのような人の育て方が一番大切です。国の開発で一番大切なのはお金を儲けることではなく、人間を開発することなのです。
  私が今大学院で研究している国際貿易は途上国開発と深い関係があります。開発途上国は主に貿易で利益を得ていますから、貿易額が増大した分、経済が発展して開発が進み、やがて工業も発展していきます。そうすると今度はより高度な人材の教育も必要になってきますが、一度教育して優秀な人材が育ちさえすれば、お金はあとからついてきます。何かを作る時一番必要なのは優秀な頭脳です。どういう形のものを作るか、その構想を生み出すのが頭脳なのです。構想がはっきりして、それを実現しようとする時に初めてお金が必要になります。しかし、その時もし構想だけあってお金がなければ、それを実現することはできません。ですから開発には人材とお金の両方が必要で、そのため貿易と教育は開発途上国にとって欠かすことができない要素なのです。 将来は博士学位をとって帰国後教授になり、学んできたものを教育面で生かして母国の発展に貢献したいと考えています。