Top向学新聞>日本で働く留学生OBたち>モニカ・ウーさん


モニカ・ウーさん(台湾出身) 
(シンガー) 


日本の就職活動は面接がポイント
出会う人には必ず意味がある

  私が留学中に感じたことは、情報収集の大切さです。特に就職を希望する人は、情報源を同国人ばかりに頼っていると得られる情報が限られてしまいますので、幅広い情報源に接するべきです。親の援助や知人のネットワークがある母国と違い、日本で就職したい場合は覚悟して自分の実力で戦っていかなければなりません。ですから大学や大学院に入ったときに将来就職するならすると決めて、どんな会社に入りたいか、その会社に入るために何を勉強しなければならないかを考えたほうが良いでしょう。 
  日本の就職活動におけるポイントは面接です。新卒採用の場合は能力よりも人物をまず重視し、そのうえで同レベルの人の中からより能力や知識のある人を選びます。私は大学3年のときにマスコミ業界を目指して就職活動しましたが、中には応募者が多いため7次面接まで行う企業もありました。数百人の中から最後まで残ったのが5人ぐらいで、その中から1人か2人採るという厳しい戦いでした。日本人の場合は面接を重ねるにつれて何を聞かれるのか予想が付かなくなっていきますが、留学生の場合は大体聞かれるパターンが決まっていますので、回数を重ねるうちにうまくいくと思います。いかに流暢に自分のことをアピールできるかが大切ですので、面接に行く前に日本人の友人や大学の職員に模擬面接をしてもらったほうがいいと思います。日本社会には「出る杭は打たれる」という傾向もありますので、面接で自分の能力ばかりアピールしすぎると、逆に嫌われる場合もあります。会社側は入社後に社員を育てていこうとしているので、能力よりも自分がどういうことに関心があって、どれほど研究したかといった具体的な話をしたほうが人事の人の耳に入ると思います。
  また、大手企業の場合は何百人もの応募者の中から選考しますので、いちいち採点するより大学の知名度を見る場合も実際にあるようです。文系の場合は総合職の募集が多く、大学の専攻は採用にあまり関係がありませんので、就職を考えるなら学校選びも案外重要なポイントだと思います。
  いずれにせよ、留学は自分にとって何らかのチャンスを提供してくれるものに違いありません。私は国立大学に留学後日本企業に就職しましたが、会社の近くにあった専門学校にたまたま勧誘されたことがきっかけで、入社後すぐに歌を始めることになりました。思い切って仕事を変えたのは、そこに喜びを見出し、仲間を見つけたからです。音楽というものは「人と人のつながり」なのであって、一人ではできません。ともにやって楽しいから続けられるのです。会社も一人でできないことをするからこそあるのです。その意味で留学中に出会う人は必ず何か意味があって出会っていると思いますので、出会いは大事にすべきだと思います。