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モハッマド・イムランさん (インド出身) 
(東京外国語大学 研究生) 


俳句は社会のフィルター  対人関係重視する日本文化

――松尾芭蕉の奥の細道の研究がご専門だそうですね。研究のきっかけは。
  私は大学を卒業したあと、あるソフトウェア会社で働いていましたが、そこでは日本人とのコミュニケーションが毎日ありました。そのうち日本文化に関心がわき、どうしても日本社会を経験したくなり、大学院を経た後来日しました。社会を映し出す鏡である文学を専攻すれば日本社会を良く知ることができると思い、いま俳句の研究をしています。
  日本人は言語だけではすまない人たちです。お客様と話すときなど立場が変わると話し方まで変わります。非常に関係性を重視しており、その世界は俳句に通じます。俳句は社会のエキスを取り出すためのフィルターで、社会と不可分です。詠む者は言葉の背後にあるものを込めているので、よく研究しないと本当の意味が分かりません。俳句は日本文化全体を解く鍵なのです。
  日本文化は独特で、どう振舞うかを重要視しています。上下関係など、対人関係における振る舞い方がなっていない人は社会では認められない点がインドや欧米の文化と大きく違います。「郷に入りては郷に従え」との格言そのままに、日本では、決められたとおり動く団体性が重視されます。戦後の日本は愛国心の延長上に会社への忠誠心が存在し、団体力で高度経済成長を成し遂げることができました。しかしこれは実力主義というよりは努力主義であり、70年代の伝統です。日本の会社はそこから脱皮することができませんでした。ですから外国人のサクセスストーリーがなかなかありません。実力のある人ほど、日本で働こうと思ってもある程度昇進のチャンスが限られていると感じ、躊躇します。1000人に1人の優秀な人材をみすみす逃しているかもしれません。そういう人がふさわしいポストに就くことができれば日本社会も変わっていくのではないでしょうか。