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向学新聞2009年12月号


大学間交流協定や海外拠点は増加傾向
 


拠点の半数弱で学生を募集選考  (大学国際化戦略委員会調査)


文部科学省の大学国際戦略本部強化事業は、今年6月に大学の国際化に関する調査を行い、その結果を10月26日の大学国際化戦略委員会で公表した。調査は192機関(国立72校、公立23校、私立95校、大学共同利用機関2機関)からの回答を得た。
 全学的な国際化のビジョンや目標を有している機関は約58%で、このうち具体的な数値目標や行動計画を定めている項目としては、留学生の受け入れ数(67%)海外留学・研修プログラム(62%)、外国人留学生・研究者用宿舎の整備(52%)などが目立った。国際化推進のための本部を設けている大学は57%で、そのうちの過半数は学長・副学長クラスが本部長を兼ねていた。
 2005年に一橋大学のグループが行った大学国際化調査(回答数362校)では、国際化のビジョンを持つ大学は全体の2割程度にしかすぎなかったが、ここにきて国際化への取り組みが徐々に浸透しつつある状況が窺われる。
 大学間の交流協定締結数は、2005年度が4843件だったが、2008年度には6511件と増加傾向にあることがわかった。また、海外拠点を持っている機関は35%(67機関)で、そのうち今後海外拠点を増やしたいと回答した機関は69%にのぼった。海外拠点の形態については、2005年度には大学単独の拠点が多かったが(66校)、2008年度では協定大学内に設置する形態が最も多くなっており(136校)、海外大学との交流協定の締結がその大学の海外拠点構築に結びついている、あるいは最初から相互の海外拠点構築を見据えて協定を締結する大学が増えている状況が読み取れる。共同利用事務所に設置している大学は2008年でまだ21校程度だった。
 拠点の運用状況については、半数以上の大学が拠点維持のための財源の確保や人員の確保、帰国留学生とのネットワーク構築や広報活動などを行っており、入試まで含めた留学生リクルート活動を行っている大学も半数弱に達している。海外拠点の有無で大学の在籍留学生数を比較すると、拠点を持たない大学が平均141人だったのに対し拠点を持つ大学は551人と4倍の差が出ている。
 ただいっぽうで、国際業務を担当する教職員への研修制度やキャリアパスの整備など、学内の人材開発については多くの機関で取り組みが十分に進んでいない現状も明らかになった。
 文科省はこれらの結果を踏まえ、先進的な大学国際化のモデルケースをまとめた最終報告書案を今年度中にも公表する予定だ。

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