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大学と日本語学校の連携を

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向学新聞2009年12月号記事より>


大学と日本語学校の連携を
 


学生募集で協業
仮入学許可し予備教育委託の例も 日本学生支援機構など主催


 大学と日本語予備教育との連携について考えるシンポジウムが11月7日、東京都江東区の東京国際交流館で開かれた(主催/独立行政法人日本学生支援機構、名古屋外国語大学など)。大学等で学ぶ留学生の6割が国内の日本語学校からの入学者となっていることから、大学と日本語学校とが協力して予備教育を行い、留学生30万人計画を達成するための体制作りへとつなげようというものだ。当日は日本全国の大学・専門学校・日本語学校関係者らが多数参加し討論やネットワーキングを行った。

冒頭にカリフォルニア大学ロスアンジェルス校のウィリアム・ガスキル氏が講演し、米国での語学学習支援について説明した。「大学での学習内容に結びついたブリッジプログラムを実施するよう強く勧める。学生は大学で及第点が取れるかどうかに強く影響するので真剣に学ぶ」と述べ、語学教師と大学教授が連携しプログラムを整備するよう促した。
  続いて文化審議会会長の西原鈴子氏が講演。「(大学にとって)日本語能力を海外で開発することが現実的でない状況の中で(渡日前)入学の許可の根拠づけをどうするか」と問題提起。解決策として、暫定的入学許可で学生を渡日させ、学力と日本語力が大学に認められるまで調整する期間を設け、予備教育機関に日本語教育を委託できるようにすべきだと提言した。日本留学試験を海外で英語で受験し、学力優秀でも日本語ができず渡日できない学生を戦略的に獲得するしくみの構築を促した。
  続く分科会「留学の始まりから大学等への入学まで」では、一般社団法人JAOS海外留学協議会の山田勝会長が、海外における大学と語学学校の協業・共働の現状を発表。米国テキサス州の公立大学30校が共同で語学学校を設立して世界に学生募集を展開している例や、大学内で民間の語学学校が授業を行い、大学がその語学学校に合格内定通知を出して仮入学許可を与えている例などを紹介した。また、学生の募集を含めた協業は世界的潮流になっており、日本が後れを取っている現状を示唆した。その上で「世界語学学校協会連盟」に日本の語学学校協会も加盟し、各国の留学事業者団体とのネットワークを構築して、世界的な学生募集活動を展開していくよう促した。
  続いて京都文化日本語学校の山口修氏が、京都造形芸術大学との連携の例を発表。同大学は各国で現地入試を行っているが、面接等を通過したものの日本留学試験の点数が不足している受験生は、京都文化日本語学校のカリキュラムを受講する。そして日本で再受験してクリアした上で本入学とする制度を数年前から始めているという。
  これらの発表を受けて同分科会では、日本語学校と大学による予備教育の連結のためのコンソーシアムを立ち上げるべきだとの提言がなされた。
  続くパネルディスカッションでは、留学生パネラーが日本語教育のあり方について提言。英語コースがある東京大学の留学生、ハリー・アムリ・ムサさん(インドネシア)は、「日本語が必須である学部生は問題ないが、修士から入って来た人は日本企業に就職したがらないのが現状。大学院でもっと日本語教育を集中的に行ったほうが良い」と述べた。
  これ受け、大阪YMCAの田中眞一氏は、「社会人基礎力の養成や、どのような人間に成長するかといったキャリア形成の意識づけを大学といかに連携して行っていくかが今後の留学生受け入れのポイント」だとして、募集から日本語教育、就職支援まで一貫して共同で行うシステムの必要性を訴えた。
  また、外部機関と連携した大学の学生募集については、明治大学の横田雅弘氏が「国際教育パートナーズ」の例を説明。明治大学と財団法人アジア学生文化協会、株式会社ベネッセコーポレーション、株式会社JTB法人東京が今年から始めた産学連携の取り組みで、大学情報の検索から出願、経費支払いまでがWEB上で可能な「全大学共通ワンストップ・サービス」を構築しようというものだ。あわせて留学後の日本語教育や寮・ホームステイなどもサポートするトータルな留学システムを作ろうと動き出している。
  文部科学省が2009年度予算で「日本留学ポータルサイト」構築の方針を打ち出している中、民間で多業種間で連携して留学支援システムを構築していこうとする動きは珍しく、今後の動向が注目されるところだ。


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