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向学新聞2012年3月号


東京大学、秋入学に全面移行へ

  東京大学が5年後を目処に、秋入学へ全面移行する方向で検討を進めることが明らかになった。2011年4月に「入学時期の在り方に関する懇談会」が設置されて秋入学の検討が始まり、今年に入って中間報告が公表された。問題意識を共有する北海道大学、京都大学、慶應義塾大学など11校と協議体を発足させる予定。東京大学の動きに伴い11大学以外の、秋田大学、千葉大学、横浜国立大学、鳥取大学、広島大学なども続々と入学時期検討の意向を示した。
 東京大学の濱田純一総長は「採用や国家試験の時期の再検討など、社会の変化とセットでないと実現できない」として経済団体にも協力を要請し、賛同を得つつある。社会全体に及ぼす影響も大きくなる模様だ。
 世界では秋入学が全体の約7割を占めており、春入学は少数派だ。そのため、国際動向との不整合が学生や教員の国際交流を制約する要素となっている。もともと欧米を模範として実施された日本の高等教育は、明治5年から大正9年までは9月入学だった。大正10年に4月入学に移行した。
 秋入学が実施されても企業への入社が春の場合、高校卒業から5年もの期間を要することになる。入口の高校卒業から入学までの半年間(ギャップターム)は、留学やボランティアの体験で有効活用し、出口の就職に関しては秋入社や通年採用も必要となり、企業側の対応も求められる。
 濱田総長は秋入学について「世界の大学と全く同じ平面に立って競争する立ち位置の転換」と話す。世界と同じスタートラインに立った後は大学の本当の力が試される。秋入学の検討を進めるとともに、教育内容の改善・充実も忘れてはならない。



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