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経済・政策が日本語学習に影響

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向学新聞2012年5月号記事より>


経済・政策が日本語学習に影響
 

2011年度日本語教育 国・地域別情報

独立行政法人 国際交流基金公表

 国際交流基金が3月30日、2011年度の日本語教育国・地域別情報を公表した。日本語学習の人気は依然として高いものの、世界への中国語教育の進出や海外の政策の転換などが、日本語教育に影響を与えていることが明らかになった。

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 世界で最も日本語学習者が多い国は約96万人の韓国。学習者の中心は中高生で、87万1200人と約90%を占 める。日本語は高校で、第二外国語に指定されている7言語の中で最も履修者が多い。2010年 度の「教育統計年報」(韓国教育開発院)によると、一般高校の場合、日本語の履修者は37・5万人(約62%)、中国語が16・9万人(約28%)、フランス語が2・5万人(約4%)と続く。日本語と韓国語との類似性から、学びやすさや親しみやすさを感じる半面、苦労が少なく学べる言語として軽
んじられてしまう傾向もあると国際交流基金は分析している。
 また、中国が世界第二位の経済大国になったこと、東日本大震災とその後の放射能問題が大きく影響し、韓国では「将来性を考えれば、日本語より中国語を学習すべき」といった雰囲気が広がりつつあるという。
 二番目に日本語学習者が多い国は約83万人の中国で、6割以上が高等教育機関で学んでいる。中等教育では、第一外国語としての日本語学習者は減少傾向にあるが、高等教育では日本語学科の新設や、既存学科の定員増で学生は増加し続けている。卒業後は日系企業に就職する学生が多い。一方で、日本語力だけでは就職が難しくなってきており、英語や経営などを併せて学ぶ学生も増加している。
 また、インドネシアにも約70万人の日本語学習者がいる。日本と経済的な面での結び付きが強いため、従来から実利的な目的での学習者が多かったが、最近はアニメ、マンガ、J‐POPをきっかけに日本語を学ぶ若者も増加している。インドネシアの日本語学習者の約90%は高校生が占めているが、2006年に中等教育カリキュラムが改訂されたことが大きく影響している。高校(普通高校、宗教高校)の3年間、第二外国語か技術・家庭のどちらかの履修が必修化されたからだ。第二外国語には、日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、アラビア語の5カ国語がある。どの語学を教えるかは校長の裁量に委ねられている。インドネシア現地の日本語教育関係者からは、「日本語には正規の教科書(国際交流基金と教育省が共同制作)がある」という理由で、日本語を採用する校長が多いという意見があった。しかし、中国経済の勢いに応じて、中国語を取りいれる学校が増えている他に、学校外での中国語教育の進出が目覚ましい動きを見せている。
 オーストラリアでは、政策的に外国語教育を導入してきた。日本語学習者は約28万人で、学習者の95%は初・中等教育の学生だが、近年減少傾向が続いている。
 オーストラリアでは、1980年代~1990年代にかけて、中学・高校の学習者が急速に伸び、日本語教育ブームが起こった。その背景には、経済的な理由からアジア重視の外交へと方針転換し、多文化主義へと舵を切ったオーストラリア政府の意識の変化がある。1987年の連邦議会で、「英語教育と英語以外の言語」(LOTE)教育に関する報告書が承認された。LOTEに日本語を含む9言語が指定され、学校教育の重点的学習領域として認められた。日本語ブームは「日本語教育の津波」とまで言われる状態となり、1970年代末~1998年までの約20年間で、日本語学習者は約40倍まで増加した。しかし、1996年~2007年まで続いたハワード政権は、アジア言語政策にあまり熱心ではなく、この間の言語政策の転換が日本語学習者の減少に繋がった。2006年の調査では、1970年代に国際交流基金が調査を始めて以来初めて、日本語学習者が減少した。2007年12月に発足したラッド労働党政権は、「教育革命」を掲げ、日本語を含むアジア4言語の教育を重視する「学校におけるアジア語・アジア学習推進計画」をスタートさせたが、これも2011年末に終了してしまった。
 独立行政法人日本学生支援機構によると、日本で学んでいる留学生は約13万8000人(平成23年)で、その多くは中国(8万7533人)、韓国(1万7640人)の学生だ。インドネシア、オーストラリアからの留学生はそれぞれ、2162人、231人と両方合わせても全体の2%にも達しておらず、日本語学習者と日本留学が繋がっていない状況がある。世界で学ぶ日本語学習者は約365万人で、彼らへのアプローチが日本留学者増加の一つの鍵となる。




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