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グローバルリーダーの育成を

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向学新聞2012年6月号記事より>


グローバルリーダーの育成を
 

世界をリードできる人材必要

異文化理解・合意形成能力重要

 文部科学省によると、2009年の日本人の海外留学生数は前年より7000人近く少ない約5万9900人だった。減少傾向に歯止めがかからず、日本人学生の内向き志向が指摘されている。しかし、現状を打破するために、高等教育ではグローバル人材のみならず、グローバルリーダー育成への教育改革が熱を帯びている。

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 「世界経済で何が起こっているのか、特にユーロ危機の原因についてお話ししたいと思います」。5月14日の早稲田大学、学生の熱気で溢れた教室でIMFの職員が英語で講義を行なった。早稲田大学が今年から開始した「グローバル・リーダーシップ・プログラム」の一つである「グローバル・リーダーシップ学」では、東洋と西洋の両方を熟知したリーダーを育成すべく、大使館職員や世界銀行職員など多様なゲストを迎えて講義が行われている。「グローバルリーダー入門」などの科目があり、リーダー育成に特化した内容になっている。現在約500名の学生が前期提供科目8科目を受講している。早稲田大学の広田真一国際部長は同プログラムについて、「グローバル人材ではなく、グローバルリーダーを育成する必要がある」と強調する。
 
 その中でも広田国際部長が「アメリカの大統領など、世界のリーダーがこのプログラムから巣立ってほしい」と期待するのが、「トップリーダー・プログラム」だ。主に全学部の新入生を対象とし、10月頃から成績、英語力、日英二言語による論文審査、面接試験などを通して15名の学生を選抜し、卒業まで少数精鋭のエリート教育を行う。
 
 早稲田大学はコロンビア大学、ワシントン大学など米国のトップ5大学とパートナーシップを結び、選抜学生はその米国トップ5大学のいずれかに1年間留学する。帰国後は、パートナーである米国トップ5大学からの留学生と日米共同ゼミを行い、国際学会でプロジェクトの成果を発表する予定だ。2030年には世界のGDPの約4割をアジアが占めると言われており、東洋だけではなく西洋も、西洋だけではなく東洋も理解した日本とアメリカのリーダー育成が狙いだ。政治経済学部1年生の中野航綺さんは、「一浪で入学したが、このプログラムのための1年だったと思い頑張りたい」と話し、トップリーダー・プログラムへの参加を目指す。
 
 また、理工系分野が強い東京工業大学のリーダー育成への新たな試みが、社会から注目されている。昨年、修士・博士一貫教育システムである「グローバルリーダー教育院」を開設した。理工系の博士人材は専門分野に偏っているという指摘が産業界からあったが、佐藤勲教育院長は「グローバルリーダーのグローバルとは何か随分と議論してきた。世界の異なる文化、考え方を理解した上で、合意形成できることが一番大切だという結論に至った」と話す。そして、学生が様々な分野の俯瞰力とコミュニケーション力を養うことができるよう、全研究科を対象に学生を募集し、昨年の夏休みに二泊三日の選抜合宿を行った。「科学技術にリーダーシップは必要か」、「これからの日本、世界のエネルギー政策をどうするべきか」という二つのテーマで、17名の志願者がグループに分かれ徹底的に議論を重ね、プレゼンテーションを行い、審査教員もつきっきりで議論の過程やプレゼンテーションを評価した。最終的に外国人留学生も含め専門分野が異なる9名の学生が一期生として選ばれた。これらの学生は修了まで授業料が全額免除される。
 
 グローバルリーダー教育院に所属した学生は、専門の研究科に継続して所属するが、能力養成の場である道場(グローバルリーダー教育院の教育システム)にも参加する。道場生は現在、各界の第一線で活躍しているゲストスピーカーを迎えた導入座学や、専門分野、国籍を越えたグループワークを行っており、最終的にはシンポジウムの開催など社会へのアウトプットを目指す。佐藤教育院長は「東工大の将来を背負ってほしい。そして、グローバル人材のモデルの一つとして早く提示したい」と話す。
 
 早稲田大学と東京工業大学に共通するのは、異文化を理解したリーダー育成だが、昨今、若者の内向き志向が指摘されている。しかし、明治大学も昨年から「国際キャリア特論―留学のすすめ」を開講し、世界で活躍するゲストスピーカーを招いた講義を行っている。昨年は120名の学生が受講し、「留学する」という意思をもつ学生が受講前の27%から受講後は48%にまで増加した。一方で、受講後も留学が就職時期と重なることを懸念する学生も多く、産学連携でのリーダー育成への後押しも欠かせない。グローバル時代を迎え、世界をリードできる人材の必要性が高まっているが、日本社会や教育はその要求に応えることが求められている。




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