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向学新聞2014年3月号


海外に更なる日本語の普及を

                   有識者懇談会が提言

 昨年12月20日、「海外における日本語の普及促進に関する有識者懇談会」(座長/木村孟・元東京工業大学学長)が行われ、日本語の海外展開に関する報告書を外務省に提出した。同懇談会は昨年3月に発足し、大学や日本語教育支援機関の他、民間企業も集まり産学協同で議論を重ねてきた。
 
 同報告書では早急に対応すべき課題の一つとして、海外への日本・日本語の魅力発信を挙げ、日本語学習の成功者を「日本語普及大使」として任命し、海外現地で講演を行ってもらうことを提案した。また、中・高等教育機関で存続の危機に瀕している日本語講座への緊急財政支援なども求めた。
 
 日本語教育のIT化の推進も大きな焦点となり、初級段階から日本語の楽しさを実感できるeラーニング講座の開設、テレビ会議などによる日本語教師研修、ポップカルチャーや和食を取り入れたIT教材の開発などの提案も報告書に盛り込まれた。
 
 国際交流基金の調査によると、2012年度の海外日本語学習者数は約399万人で、日本政府は2020年までに日本語学習者数500万人を目指している。学習者は上位3カ国の中国、インドネシア、韓国で約69%を占めており、他の東南アジア諸国を含めると約75%に上りアジアに学習者が集中している。しかし、これまで高いニーズがあったインドネシアでは、教材不足・教師数不足・教師の日本語力などの環境面が大きな問題となっている他、中国語・韓国語・アラビア語への関心が高まっている。さらに、インドネシアの中等教育の第二外国語はこれまで学校長が選択していたが、2013年のカリキュラム改定で学習希望者による選択制に移行し、日本語・日本文化の魅力を発信しなければ学習者の減少に繋がりかねない状況にある。オーストラリア、米国、フランスでは実際に、初・中・高等機関で日本語講座や授業が閉鎖される動きがある。しかし、アフリカでは日系企業が進出し、日本語学習者数増加の潜在的可能性があるなど開拓すべき地域もある。今回の提言はそれらの課題を踏まえた内容で、外務省は順次出来るものから施策に活かす考えを表明している。



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