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向学新聞2015年6月号記事より>


サウジ留学生フォーラム開催
 

留学の成果をプレゼン 日本の考え方や技術を習得

 5月17日に「第1回サウジアラビア留学生イノベーションフォーラム」が日本科学未来館(東京)で開催された。主催はサウジアラビア大使館文化部。サウジ留学生によるプレゼンテーションコンテストなどが実施され、日本留学で得た知識・体験をもとに多様な発表が行なわれた。

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画像の説明

プレゼンの様子


 東海大学大学院のアブアロア・ムハンナド・アミンさんは、同大学のソーラーカーチームに所属しており、国際大会での活動についてプレゼンした。大会は南アフリカ一周やオーストラリア縦断など、電気がなく人がいない砂漠地帯などで行なわれる過酷なレースだ。東海大学は世界屈指の強豪チームで、これまでマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学、ケンブリッジ大学を押しのけて優勝した経験をもつ。アブアロアさんは、「世界チャンピオンになるためには各自が自分の役割を果たすことが欠かせず、チームワークの重要性を学んだ。ルール変更などレースには障害がつきものだが、日本人は決して反対せず、いかなる状況にも臨機応変に対応する。この日本人の考え方が勝利の鍵だった」と語気を強めた。
 
 日本工業大学のアロタイビ・ムクリン・エイドさんは、エコ照明システムに関する研究内容につて発表した。「照明にセンサーをつけて、部屋の必要な箇所にだけ自動的に明かりを灯すことができる」とLEDを利用したスマートライナーについて説明。サウジアラビアでは世界平均よりも大幅に多い電気量が使用されているなど、省エネ対策の必要性が認識されはじめているなか、今後の技術活用が期待されるプレゼンとなった。
 
 日本学生支援機構によると、2014年の在日サウジ留学生は約600人と少数だが、その数は年々増加している。日本は、留学中の生活費や学費を全額負担するサウジの「アブドッラー国王奨学金」による留学生を2007年から受け入れ始めた。サウジ政府は国家予算の約25%を教育と就業促進に割り当て、これまで15万人以上の学生を海外へ送り出している。日本の高度な技術を母国の発展に活かすことはサウジ留学生にとって理想的な形であり、フォーラムは留学の成果を確認する貴重な機会となった。




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