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向学新聞2017年6月号記事より>


クールジャパン人材の定着促す

ポイント制の加算要件追加

日本で外国料理学んだ留学生の就労も

cooljapan
内閣府「クールジャパン人材育成検討会(第4回)」で
冒頭発言を行う鶴保庸介・内閣府特命担当大臣

 内閣府の「クールジャパン人材育成検討会」(座長・鶴保庸介内閣府特命担当大臣)は5月23日に開いた会合で、外国人材の力をクールジャパン産業の拡大に活かすための施策をまとめた。クールジャパン分野を深く学び、技能を研鑽している外国人が日本に定着しやすくなるよう在留資格の要件を緩和する。内外に影響力を持つ外国人と協働し、外国人目線からクールな日本の魅力を世界に発信してもらうことで、日本ブランドの価値向上につなげるのが狙いだ。


 

 今年4月から「高度人材ポイント制」が改正され、外国人の学歴・職歴・年収などをポイント化して一定基準を満たせば、3年や1年で永住権が取得できるようになった。クールジャパン分野の産業をけん引するようなハイレベルな外国人材ついては、このポイント制を活用しやすくする。各省庁が実施するクールジャパン関連の先端プロジェクトに参加している者や、特定の指定校・プログラムの卒業者、指定されたアワードの受賞者などは、特別にポイントが加算される対象となるよう検討する。


 また、現在留学生は、アニメ制作会社での色付け作業や、ファッションメーカーでの裁断・縫製、店頭販売などといった、創作活動を伴わない仕事でのビザの発給は認められていない。しかし検討会では委員から「コンテンツ分野に就職当初は、色付け業務等に従事することもある」等の指摘が出たことから、実際に創作活動以前の補助的業務からキャリアをスタートせざるを得ないケース等についての調査を行ったうえで、現場に即した受け入れの方策について検討する。


 さらに、10年以上の実務経験を持たない留学生は日本の調理師学校を卒業後に日本で料理人になることはできないが、その制限も改善する。現在、特別な枠組みとして、調理師学校を卒業後に最長2年間働きながら日本料理の技術を習得できる「日本料理海外普及人材育成事業」が実施されている。この枠組みは日本料理のみが対象で、外国料理の分野は認められていない。しかし、日本に洋菓子を学びに来る若者は多く、日本の外食産業の競争力も日本料理だけではない現状がある。そこで日本料理以外を専攻して調理師学校を卒業した留学生についても、働きながら技術習得や長期滞在を可能にする枠組みを設けるよう検討する。


 今後、検討会では年度内をめどにテーマを深堀りした第2次の取りまとめを行うとともに、内閣府に「クールジャパン人材育成政府連絡会」を設置して各省庁の進捗状況のフォローアップを行っていく。




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