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向学新聞 2018年2月号


難民認定申請者の就労を制限

法務省 制度の濫用・誤用に歯止め




 法務省は濫用・誤用的な申請が急増している難民認定制度の運用を見直すことを決めた。


 初めて申請があった者については、2ヶ月以内に案件の内容を振り分け、世界で避難を余儀なくされている難民条約上の難民であることが認められれば、速やかに就労可能な6ヶ月間の特定活動ビザを発給する。いっぽう乱用・誤用的な申請には厳格な対応を施し、難民条約上の迫害に該当しない事情を申し立てた場合は、初回申請・再申請ともに在留許可を与えない。


 また、退学した留学生など、本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった者や、出国準備期間を与えられた者が難民認定申請をした場合には就労を許可せず、在留期間も6ヶ月から3ヶ月に短縮する。


 法務省がこうした制度見直しに踏み切ったのは、就労目的での難民認定申請が最近特に急増していることが背景にある。


 2010年3月からは、国内の正規滞在者が難民認定の申請をすれば申請6ヵ月後から手続完了までの間は就労が認められることになったが、このことを利用して就労目的で難民認定を申請する外国人が増えはじめた。そこで2015年9月からは乱用・誤用と見られる申請は迅速に処理し、就労目的で繰り返し申請する者に就労制限や在留制限を課してきた。しかしこれらの措置にもかかわらず2017年に入り申請は急増。1月から9月までに日本で難民認定申請を行った外国人は1万4043人(前年同期比77%増)にのぼり、2016年1年間の申請数1万901人を上回った。国籍は多い順にフィリピン(構成比22・6%)、ベトナム(16・6%)、スリランカ(13・0%)、インドネシア(9・6%)、ネパール(7・8%)の順。申請時の在留資格は短期滞在が半数強だが、留学も12・6%(1773人)に上っている。認定されなかった者の申し立て理由で最も多かったのは「知人、近隣住民、マフィア等とのトラブル(借金に関する問題等)」が44%を占めた。


 法務省は今回の制度見直しで、こうした明らかに難民でない者による就労目的での制度濫用を取締まり、再申請を繰り返す者の増加に歯止めを掛ける構えだ。



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