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特別インタビュー 外国人の社会統合

Top向学新聞特別インタビュー>2019年4月1日号

特別インタビュー
- 外国人の社会統合 -
 


小﨑 敏男 氏
東海大学政治経済学部経済学科教授



<こさき・としお>
1958年石川県生まれ。1982年東海大学政治経済学部経済学科卒。1996年中央大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。中央大学博士(経済学)。東海大学専任講師、同助教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学、特に人口減少と労働政策を研究課題とする。


小﨑 敏男 氏



言語教育なくして社会統合なし


雇用税で子女に義務教育を


 「特定技能」を柱とする改正入管法が施行され更なる外国人の増加が見込まれるが、その流れは経済的にどのような影響をもたらすのか。小﨑敏男氏に労働経済学の見地からのお話を伺った。


 
技能実習生が18歳人口減を補う

――移民が増えると国が貧しくなるという議論が見られる

「計量的に分析し推計したところ、日本では外国人比率が1%増えると、産業計の賃金は0・035%増加し、雇用は男女計でマイナス0・092%になるというデータが出ている。ほとんど影響はない」

――外国人の増加は人手不足の緩和になっているか

「2013~2018年の5年間で外国人は74万2千人増えており、留学生等の資格外活動や技能実習生のシェアが急増しているが、国が求めている専門的・技術的分野は5年間でシェアが0・47%しか増えていない。人手不足の業種は主に単純労働であり、中小企業に集中している。技能実習生を多く入れている都道府県は高卒の有効求人倍率が非常に高い地域で、18歳人口が減ってきた分を技能実習生で埋めている補完関係にあるのが現状だ」
「日本はそういう人々の単純労働力をあてにして成り立っているが、自国民がしたがらないきつい仕事を外国人が率先してやってくれるので受け入れている点はどの国も同じだ。シンガポールでは建設業従事者の7割を外国人が占めている。高度な専門職には常に門戸を開きつつ、単純労働者は仕事のあるとき来てもらって不景気になったら帰ってもらい、永住は認めないという形は外国人労働者受け入れ国に共通の基本原則となっている」

――世界の中での日本の労働市場の特徴は

「日本で最も外国人受け入れの需要があるのは介護分野で、2025年には30万人近く不足するため、特定技能では14業種中最多の6万人を今後5年間で入れようとしている。介護は労働集約的な産業で、短期的にはロボットやICT(情報通信技術)の普及は間に合わないので外国人に頼らざるを得ない」



自国民に配慮必要

――外国人受入れで他国に見習うべき事例はあるか

「韓国の雇用許可制は、企業が求人の際に二週間程度自国の人材に広報し、それでも集まらない場合に外国人を採用する。日本でもまず日本人に求人広告することを義務化し自国民の雇用に配慮していくべき」

――外国人の社会統合にはどういう制度設計が必要か

「フランスの社会統合政策は外国人が国と契約を結び、市民訓練や語学研修の50~200時間コースを受講する。ドイツもドイツ語教育と市民教育を行っている。ただ、進んでいると見られるヨーロッパでも実はそれほど社会統合を熱心には行ってきていないのでひずみが出ている」
「言語教育なくして社会統合はありえない。最初はコストがかかるかもしれないが、教育体制の整備から手をつけていかないと日本でもヨーロッパと同様の問題が出てくる。自国民への配慮を欠けば、今後日本でも暴動がおきないとも限らない。これは自国民と外国人のバランスの問題であり、今後外国人比率が高まるほど自国のアイデンティティや参政権の問題が出てくるが、答えは誰も持っていない。国のグランドデザインを国民みなで考えていく必要がある」

――外国人子女の不登校問題などが顕在化している

「次世代を担う人には教育の機会が与えられるよう、企業から外国人雇用税を徴収して財源とし、外国人も義務教育を必修とするべき。雇用税はシンガポールで実施しておりマレーシアでも実施予定だ。厚労省等が率先して導入への枠組みを定めていくべきだ」
「外国での暮らしはコストもかかり異文化との摩擦もあるので、外国人に本当に幸せをもたらすのか問い直す必要がある。本来は自国で完結する経済システムを作ることが原則だろう。今は日本では人が足りず、送り出し国の人々は自国であまりいい暮らしができないゆえに、関係が成り立っている。結局はその人が自国から出たことで自国にいるより幸せを手に入れることができたかが一番の問題であり、そのうえで受け入れ国の国民も幸せになれるようなウインウインの関係が望ましい」





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