<向学新聞2019年9月1日号記事より>
日本語教育推進法施行
国や企業の責務を明記
「日本語教育の推進に関する法律」が6月28日に公布、施行された。国や自治体、企業等に、外国人への日本語教育や教育支援を行う責務があることを示すとともに、政府が日本語教育を実施するための財政上の措置を講ずる必要があることを明記している。今年4月から新在留資格「特定技能」が施行され、さらなる在留外国人の増加が見込まれる中、円滑な生活を営むための基盤となる日本語を確実に習得できる環境を整える。
基本的な施策としては、外国人の幼児・児童・生徒等に日本語指導や学習指導を行う教員を配置する制度を整える。また、地域の日本語教室の開設と支援、教師養成のほか、日本語教室の空白地域に住む外国人も学習できるような環境を整備する。
さらに、海外在住者が日本への理解を深めるとともに、日本企業にスムーズに就職できるようにするため、海外現地の日本語教育体制を整備することも条文に盛り込んでいる。
具体的な施策の決定にあたっては、文部科学省や外務省などの関係機関が「日本語教育推進会議」を立ち上げ、専門家や教師、留学生から意見を聴いた上で施策に反映させる。
この法律は政策立案を義務付けるものではなく、理念法の側面が強いため、今後どのように具体策を実現するかが課題となる。ただ、国レベルの法律ができたことで予算確保の裏づけができ、各自治体や支援現場の側からの施策の提案・要請や予算確保がしやすくなる可能性がある。
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