Top向学新聞>2020年1月1日号

留学生の就職支援の方策を探る
JAPI外国人留学生政策カンファレンス



情報源は外国人同士


多言語対応の促進必要


 外国人留学生の就職支援の在り方を考えるシンポジウム「JAPI外国人留学生政策カンファレンス」が2019年12月12日、東洋大学白山キャンパスで開催された(主催/一般社団法人日本国際化推進協会)。留学生調査や大学での最新事例をもとに、パネラーらが効果的な留学生の就職支援の方策について議論した。


調査発表を行うオスティン氏

調査発表を行うオスティン氏


 
 基調講演では、経済産業省産業人材政策室長の能村幸輝氏が、企業における外国人の活躍促進について講演。能村氏が所属する産業人材政策室では、「外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けたプロジェクトチーム」を運営している。同氏は、企業がグローバル対応を強化する中で「経営戦略が人材戦略そのものになっていく」と指摘。企業は外国人に日本人と同等の日本語力を求めるが、それは「どう活躍してほしいかがイメージされていないからではないか」と述べ、経産省で現在検討を進めている、企業の外国人材の活用を変えていくための現状に向き合うツールを紹介した。それはチェックリスト、活用ガイド、ベストプラクティス集からなり、内容は近く公表される予定だ。

 続いて文部科学省国費留学生協会代表のツェン・オスティン氏が、外国人留学生の視点から必要な就職支援の在り方について、現役・元留学生670名を対象に行った最新の実態調査結果をもとに発表した。

 回答者のうち日本語能力試験N1取得者の9割は内定を得ていたのに対し、N3レベルでは半数しか内定を得ておらず、日本語レベルが大きく影響していた。

 そして各種就職サービスの利用度については、日本人学生も頻用するマイナビ、リクナビなどナビサイトの利用率は各種就職サービスの中では高かったが、日本人学生より利用・認知そのものは少なかった。「よく利用した」はマイナビが約4割、リクナビが約3割にとどまっており、「これは日本人学生では考えられない」とオスティン氏は述べた。外国人向けのナビサイトはほとんど利用されていなかった。

 また、リクナビを「知らない」と答えた留学生の属性は、日本語能力N3未満が6割強、博士学生が4割強にのぼり、日本語で学ぶ学部生と英語コースの院生の間で就活リテラシーに大きな差があることが浮かび上がった。

 留学生が誰に相談しているかという情報源については、卒業生を含めた外国人同士の情報共有が多かった。オスティン氏は、留学生団体のネットワークを活用した支援策の必要性を強調するとともに、外国人に合せた選考方法の開発や、多言語対応の促進が必要だとの考えを示した。

 続くパネルディスカッションでは、留学生側の課題、企業側の課題と、それらへの対応策をパネラーらが議論した。

 留学生側の課題については、日本人学生との接点を持っておらず集団面接で自分を出せないことや、母国で厳しい受験戦争にもまれ、やりたいことがわからずどういう社会人になりたいかわからない留学生が多い等の指摘があり、キャリア教育の必要性が示唆された。

 また、企業側の課題としては、英語コースの留学生の受け皿となる企業が少ないことや、外国人にとって日本企業の選考のプロセスが長く、待たされている間に落ちたと勘違いして次の企業に応募してしまうので、企業はスピード感を重視すべきこと。さらに、専攻内容を活かして仕事したい傾向の強い大学院留学生には、総合職採用は理解されにくいことなどが挙げられた。

 ミスマッチを防止するための方策としては、英語コースの留学生には採用時の日本語要件を緩和して採用後の日本語研修を行うことや、中長期でのインターン受け入れ促進、日本企業との生の意見交換の場の提供等の提案があった。

 そのほか、外国人社員に「日本人のやり方」を教え込む企業があるが、留学生をマジョリティ側に染めるだけのマネジメントではストレスが強く定着しにくいため、個と個の対等な関係性を作りディスカッションを重視していくべきだといった意見があった。

 JAPIの田村一也事務局長は、「日本語が出来なくても大丈夫な企業のリストを全国各地から集め、行政や人材会社と一緒に作っていければかなり(留学生の)就職率が変わってくるのではないか」と提案した。



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