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向学新聞2024年10月号目次>高度外国人材の活躍促進
<向学新聞2024年10月号記事より>
高度外国人材の活躍促進
経済産業省は7月26日、高度外国人材研究会の報告書を公表した。同研究会は、高度外国人材の活躍促進に向けて、企業等の活動、生活や税制関連の公的支援なども含めた包括的な検討をするため、昨年10月から4回にわたって開催されてきた。ソニーグループ、日立製作所、メルカリ、楽天グループ、武田薬品工業等、高度外国人材が活躍している企業の担当者が参加し、各社の事例や、課題・要望など様々な角度からの情報を元に、議論が行われた。
高度外国人材にとっての国の魅力を多面的な要素に着目し国際的に比較した指標(OECD、2023年公表)では、受入れ人材カテゴリーの「高学歴労働者」「起業家」は共に38カ国中、日本は22位と低い。指標のポイントとして、経済的な理由や包摂的で家族にとっても就労・居住環境が良いことがあげられるが、日本はまだ評価が低い。
一方、「留学生」にとっての魅力度ランキングでは、2019年の25位から2023年度版では8位と大きく順位を上げた。留学生に関する在留資格上の手続きの簡素化や、卒業後の滞在が可能なことが評価されたとみられる。
報酬面では、日本の給与水準は長期間上昇しておらず、先進各国と比較して低い水準である。インドやベトナムは、現在は日本よりも低いが、賃金上昇率・経済成長率が高く、報酬面における日本企業の魅力は、今後相対的にさらに低下する恐れがあると指摘している。これに対して、魅力的な待遇の提供の案として、株式報酬の活用促進などがあげられた。参加企業のジョブ型人財マネジメント等の具体的な取り組み事例も共有された。
パーソル総合研究所
「日本で働く外国人材の就業実態・意識調査・結果報告書(2020年)」
「社会や制度に関する課題」では、言語の壁、地域コミュニティとの関り、子どもの教育環境についての課題が指摘された。
企業の取り組みは、必ずしも外国人だけを対象としたものではなく、「インクルージョン促進」を目指しており、外国人にとって魅力的な環境は日本人も働きやすい環境であることが再認識された。参加企業からも、「多様性だけでは属性が違う者同士、分断と対立が生まれる。多様性を力に変える鍵は『インクルージョン(包摂性)』である」との意見がでた。
社会や制度の課題解決には時間がかかる面があるが、様々な企業や自治体の好事例を広く共有し、日本社会全体で前進していくことが願われる。
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