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3Dの現在 


臨場感あふれるリアルな映像  普及に向けガイドライン策定

 今月は、3Dをめぐる現状について、3Dコンソーシアム事務局次長・今井孝一氏にお話を伺った。

オールジャパンで

――今年は「3D元年」といわれ様々な機器やコンテンツが登場しました。
 今井 3Dは臨場感あふれるリアルな映像が特徴で、テレビやパソコンを含めて様々な3D機器が登場しています。しかしそれを家庭で快適に見るためには、3Dに関わるすべての人(視聴者、コンテンツ制作者、機器製造業者)に必要最小限のルールを知って守って頂く必要があります。そこで我々は、電子情報技術産業協会(JEITA)や産業技術総合研究所(監督省庁/経済産業省)と共同で、3D普及のための「3DC安全ガイドライン」を定め、一般に公開しました。現在、3Dの安全に関するガイドラインは殆ど公開されていないため、世界中から参考にされています。この国際標準化も含め、関係団体・企業とともにオールジャパンで普及に取り組んでいこうとしています。

――世界のコンテンツ制作者との協力も必要ですね。
 今井 3Dは質のよいコンテンツが必須(3DC安全ガイドラインに準拠して作成して頂くと、品質の良いコンテンツになります)です。現在、日本を含めて様々な国から多種多様なコンテンツが作成されています。われわれが危惧するのは、ガイドラインに準拠せずに企画・制作されたコンテンツが粗製乱造されることです。3D関係者は3DC安全ガイドラインに則ってハードもコンテンツも作り、視聴者もそれに合わせた見方をすることで快適に見られます。例えば映画「アバター」も実は製作会社が工夫して飛び出し感を極力抑え、場所によっては2Dの映像に近いままにして見やすくしています。3Dを「飛び出す映像」と考えて視差を強調しすぎて、視聴者の目を疲れさせてしまうのは3D映像としては不向きです。われわれは、3D映像の安全性セミナーをパナソニック天王洲スタジオという3D映像を再現する完成度の高い施設で行い、3DC安全ガイドラインに完全準拠した映像がどれだけきれいにはっきり見えるか3D関係者の方に見比べてもらって、撮り方も含めた普及活動を行っています。

――ともに新しいメディアを作り上げていこうと。今後の2Dと3Dの関係は?
 今井 例えばCDの次に出たDVDプレーヤーはCDも再生でき、ブルーレイではCDもDVDも再生でき、上位規格のものは下位規格のものと互換性があるようにできています。昔のアナログテレビは12チャンネルしかなく、新たにUHFが出たときわざわざ別売UHFチューナーを設置して見ていました。そのうちUHFチューナーが組み込まれUHFチューナーは不要になりました。同様に3Dもテレビに最初から3D機能が組み込まれるようになり、2Dと切り替えてどちらでも見られるようになるでしょう。

――3D標準装備の時代になると。
 今井 昨年、ブルーレイディスクコンソーシアムがブルーレイの規格に新たに3D規格を策定し、HDMIの規格に3Dの規格が決まったことにより、今年から家庭用の3D対応テレビならびに周辺機器が本格的に発売されました。パナソニック、ソニー、シャープは3D対応テレビを出し、その他のTVメーカからも3D対応テレビの発売が予定されています。さらに、3D対応携帯電話等も発売されます。デジカメもフジフィルムを皮切りに各社から今後は発売されるでしょう。
 去年、アメリカではスーパーボウルの視聴者に、清涼飲料水メーカと映画会社との共同企画でドラッグストアやコンビニで3Dメガネを1億2500万個配りプロモーションを行いました。そういったトータルな3Dビジネスが動き始めています。
 例えばソニーは今回のワールドカップではFIFAの認定を受けて3D放送を行いました。今後、多くのハリウッド映画を3D対応ブルーレイディスクで提供していく計画で、さらにPS3などのゲームでも3D化が進んで行くでしょう。
 医療分野でも、高速回線で専門医にデータを送り、専門医が3D画像を見ながら指示をするといった使い方が今後進んで行くでしょう。MRIやCTでは分かりにくかった血管の前後関係や神経の位置なども、3D化すれば非常に分かりやすくなります。

――今後のガイドラインの世界展開については。
 今井 一例ですが、今年3月に経済産業省とともに、ジョン・ウー監督を輩出した北京電影学院でセミナーを開催し、学院長をはじめとし多くの中国3D関係者が参画、3Dに対する関心の高さを垣間見ました。今後、3DC安全ガイドラインが国際標準規格に取り上げられるよう、ISOに対し提案し早く承認されてワールドワイドな共通の枠組みができるように、働きかけていきたいです。



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