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CO2エコストラクチャー

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CO2エコストラクチャー 


鉄筋コンクリに代わる新素材  建物建築が早く簡単に

 今月は、東京電機大学教授、iCO2Lab.株式会社CEOの今川憲英氏にお話をお聞きした。

CO2を有効利用

――CO2エコストラクチャーとは何でしょうか。
 コンクリートと同等の圧縮強度、せん断強度、5倍の引っ張り強度を持った、CO2を利用した建築素材です。酸化ケイ砂(シリコン)にCO2を吹き込こむことで、砂が固まって固体になり、さらに接着力が非常に高いエポキシ樹脂を含侵することで完成します。また、コンクリートが最大強度に達するのには約28日かかりますが、CO2エコストラクチャーはわずか2日で出来上がります。短時間でコンクリートと同等以上の強度を得られ、CO2の有効利用が出来るという画期的な構造素材です。

――コンクリートに代わり得る素材だということですね。
 そうですね。今までの鉄筋コンクリートにはいくつか問題点があります。建築物だとコンクリートは鉄筋とセットで利用されますが、かぶり(鉄筋からコンクリートの表面までの最短距離)を4センチ以上確保しなければなりません。しかし、コンクリートを流し込んだ後は中を見ることが出来ず、本当にかぶりの距離が十分かどうか分かりません。実際にかぶりが足りず強度が低いといった問題が多く発生しています。また、コンクリートは引っ張り強度が弱くひびが入りやすいという弱点があります。鉄筋に関しても、鉄を作るには鉄鉱石を1500度以上で熱しなければならず、その際多量のCO2が排出されます。こういった問題を解決するため、鉄筋コンクリートに代わる建築素材が必要でした。

――アイディアのきっかけは何ですか。
 鉄の歴史は約二百三十年、コンクリートだとまだ百数十年の歴史しかありません。自然素材である木造建築には千数百年の歴史がありますが、ピラミッドの歴史を考えても分かるように、四千年、五千年の耐久性をもつ素材は石しかないのです。そこで、CO2削減という時代の要請と長寿命の石を利用した新たな素材を作ることができないかと考えていました。その答えは、鋳物を形取る鋳型を作る技術の中にあったのです。実は、酸化ケイ砂にCO2を吹きつけ固めたものを鋳型として使う方法は鋳物の世界では常識です。しかし、一つのもので何度も型の形を変えながら転用するのが一般的な鋳型なのですが、酸化ケイ砂にCO2を注入した鋳型は硬すぎて数回しか型枠を変えることができないため、採算性が合わず数十年前に使われなくなっていました。学生時代、鋳物の世界に興味があり勉強していたのですが、その技術が頭の中に残っていたのです。その技術を活かせばコンクリートに代わる建築素材が出来るのではないかと考え開発を進めてきました。

――誰でも手伝える簡単な建築方法だとお聞きしました。
 CO2エコストラクチャーを使えば、組積造といって、素材を積み上げながら建築するという非常に簡単な方法で住宅などの建物を作り上げることができます。実際に去年の9月、東京国際フォーラム前の広場で「チルドレンズガーデン」という建築物を学生、建築家、施工のプロが集い、3日で造りあげました。解体も半日で終わったので、わずか4日間で組み立てから解体まで出来ました。高度な技術を必要としないため、7段ある積立作業のうち、1~3段目は学生、4~7段目は建築家、最後の屋根の接合部分だけを施工のプロが担当することで完成したのです。このように素早く簡単に建設できるCO2エコストラクチャーを、震災と津波で大きな被害を受けた宮城県南三陸町にもっていこうと現在計画しています。ハウスメーカーに仮設住宅の注文が殺到し組み立てが追いついていない問題がありますが、CO2エコストラクチャーなら、元気な被災地の方も建設に協力することができるため、業者に全て任せるよりも早く多く仮設住宅を作ることが出来ます。

――社会のニーズに応えることができる素材ですね。
 仮設住宅という観点では阪神・淡路大震災が起きた頃から考えていました。また、CO2エコストラクチャーには、鉄筋を使わない、素材造りにCO2を利用する、短時間で建設できるため機械を使用する時間が少ないという強みがあります。つまり、素材の生産から建築物の完成までのプロセス全域に渡ってCO2を削減する仕組みがあるということなのです。今後広く社会に広まっていくと期待しています。



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