Top向学新聞2019年6月1日号 特集 アフリカ>アフリカ人留学生のフォロー体制構築を 一般社団法人アフリカ協会 理事長 大島賢三氏

アフリカ人留学生のフォロー体制構築を 


大島 賢三 氏
一般社団法人アフリカ協会 理事長



大島 賢三 氏



<おおしま・けんぞう>
外務省経済協力局局長としてODAに携わった後、国際連合事務次長として人道問題を担当。その後、駐オーストラリア大使、国連大使、JICA副理事長等を歴任し現職。



留学生はアフリカとの橋渡し役


官民連携の情報センター設置提言




 
民間投資と協力を望むアフリカ

――日アフリカで民間ビジネス交流が更に発展していく時にあります。

 日本政府は東西冷戦が終わりアフリカへの欧米の関心が弱まった時期の1993年にTICADプロセスを始め、先駆的な動きをしました。従来TICADは、ODA主流で貧困対策、職業訓練、教育・人づくり、保健衛生、農業等の分野でのアフリカ支援をテーマとしてきましたが、近年、アフリカ側のスタンスは明確に変わってきています。2008年のTICADⅣですでにアフリカの指導者達は、ODAは引き続き重要としつつも、「これからは民間の活動に期待したい」と強調していたのが印象的でした。アフリカに投資して産業を興す支援をして欲しい、一次資源に頼り勝ちの貿易を多角化し、雇用を生み、経済発展を図りたい、そのため日本からの積極的な民間投資と協力を望みたいと。

 その背景には、アフリカの指導者たちが東南アジアの発展モデルを意識していたのではないでしょうか。日本は長年、東南アジアを中心にアジアをODAの重点地域とし、これに民間企業の投資促進も加わり、官民連携型でその発展に貢献し、今日のASEAN諸国をはじめとするアジア地域の目覚ましい発展に貢献した、そういうことをアフリカの指導者達も見ており、そういう役割をアフリカに期待したいということでしょう。

――東南アジアと同様、アフリカからの留学生は将来の日本との関係構築で重要な役割を果たしそうです。

 日本留学して日本への理解があり、母国の人脈もある留学生はアフリカとの橋渡し的な存在になりえます。文科省国費留学生、JICAの技術研修生などもそうですが、最近私が知った一例を申し上げれば、世界各国から大学院生を招待し研修しているある民間企業で出会った西アフリカ・ベナン出身の男性は、「起業したい、本国と日本の間の架け橋になれれば幸い」と熱っぽく話していました。私はたまたま、アフリカ協会を通じて、北九州のある中小企業の社長さんが、毛布式太陽光パネルを考案し、無電化農村地域の電化に貢献する案件を進めようとしている話を聞いておりました。そのパネルを萱葺き屋根や柱に巻き付けたり壁に吊るしたりして、少量ながら安価で簡単に発電し、スマホをチャージしたり、夜に数時間電気を灯して子供が勉強できるようになるという優れものです。ベナンの男性はそれを本国の無電化対策に導入したい、できれば更に西アフリカ地域に広めたい、ということで今、一生懸命取り組んでおります。

 そういう形で、日本に来たアフリカからの留学生が何らかの形で民間企業のアフリカ進出に有益な役割を果たすことは十分ある訳です。

 アフリカ協会では8月に横浜で開催のTICAD7を前に、「TICAD情報センター」(仮称)と、また、「日本・アフリカパートナーシップ基金」(仮称)を創設してはどうかと提言しています。これを通じ、TICAD専用のホームページを作って情報発信を強化するとともに、ABEイニシアティブ留学生その他、日本留学生の帰国後フォローアップをする。例えばアフリカ進出に関心がある日本企業から問い合わせがあれば、関係のある元留学生情報を提供することもできるようにする。このような官民連携型の情報センターを、新設の日本AU代表部のあるエチオピアのアディスアベバに作り、ここに日本から官民の人材を送り、アフリカからも英語圏やフランス語圏から若い人材を入れ、言わば官民共同、日本・アフリカ共同で日本の対アフリカ協力の実績など発信材料を作り発信していく。また、日本への留学生・研修生が日本とアフリカの架け橋として将来的に活躍できる支援の仕組みを作ってはどうかと、政府や政界はじめ各方面に呼びかけているところです。





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