Top向学新聞2019年6月1日号 特集 アフリカ>アフリカの村に「農協」を 日本植物燃料株式会社 代表取締役 合田真氏

アフリカの村に「農協」を 


合田 真 氏
日本植物燃料株式会社 代表取締役


合田 真 氏


 日本植物燃料株式会社の合田真氏は、モザンビークの北東端にあるカーボ・デルガド州の農村で、電子マネーを用いた「収益分配型モバイルバンク」の導入に取り組んでいる。無電化の村に「キオスク」を作り、村人は電子マネーで作物を売った収益を受取り、農業資材を購入し、貯蓄もするようになった。次の段階として「農協」作りを目指しているという合田氏にお話を伺った。


記録と実績で与信が可能に

電子マネーシステムに入力

  電子マネーシステムに入力
(モザンビーク現地のキオスク)

――電子決済システムで村はどう変わりましたか。

 使っていただいている村の人に毎月どういう種類のお金が入ってきて、それをどういう形で貯金しているかが目に見える形になりました。例えば初年度に畑を広げてうまくいった人がいます。当社から4000メティカルほど借りて収穫したゴマを売り、2万4000メティカルほどの売り上げになりました。翌年畑をさらに広げたいというので、もう少し大きい金額をお貸ししました。収穫直前に泥棒に収穫を持っていかれたことなどもありましたが返済してもらい、結局二年目は10万メティカルくらい(日本円で17万円くらい)お借ししています。きちんとした記録と実績があればその積み重ねで与信は可能なのです。

 弊社が次の段階でやっていこうとしていることは、村で組合をつくることです。組合に対して例えば一人10万円の与信で50人なら500万円融資し、それをどう振り分け返済するかは組合で決めていただきます。グループを作れば仲買人との間での交渉力になりますし、500万円もあれば組合でトラックを一台買って自分たちで出荷できます。そして周辺の農家の収穫を運賃をもらって運んであげるなど、できることの次元が変わってきます。

 今その組合作りを日本の農水省に一緒に行おうと打診しています。組合が成立して500万円の与信が付与できれば、例えばトヨタさんの車が売れます。あるいは肥料屋さんや種屋さんの商品を大量に売ることができる。そういった将来を見据えて、母体としての農協作りを、アフリカの農村地域や農業分野に関心のある日本企業を集めて進めたいと思っているところです。

 要は日本の農協と同じです。日本の農機メーカーさんや肥料屋さんの多くは個々の農家との取引ではなく農協との取引です。農協という組織が核になって各農家に対する信用供与が機能していてはじめて皆さん商売を広げてきたんですね。



日本企業に唯一残された機会


――日本企業がアフリカで事業を行う意義をどうお考えになりますか。

 アフリカ進出は日本にとって、ビジネスの世界でそこそこのポジションをキープしたければ唯一残された機会かなと思っています。日本では、各企業や大学が眠らせている技術シーズがあってそれを実証しようとしても、過去の積み上げ式の産業構造ゆえになかなか社会実証まで至らないし、技術実証できる場所もありません。

 たとえばアメリカのジップラインという会社は、自国で規定をクリアするのが難しかったのでルワンダでドローンを用いて血液を各村に運ぶ仕事を2~3年前に始めました。積み上げ型インフラがなくともビジネスは十分実現します。アフリカは課題解決のパートナーを切望しており、日本企業が貢献できるものはたくさんあるはずなのです。



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