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国際教養大学

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国際教養大学 


厳しい勉強を志願する学生  高等教育改革への使命感

就職率が100%


 国際教養大学は2004年に秋田県に新設された大学だ。秋田空港からほど近く、自然に囲まれた場所に立地し、1学年175名の小規模な大学である。しかし、卒業生の就職率ほぼ毎年100%を達成しており、就職先も一流企業が並ぶ。三菱商事、住友商事、丸紅、新日本製鐵、SONY、川崎重工業、コマツ、本田技研工業、日立製作所、明治製菓、三菱UFJ信託銀行等々。2007年から開催している学内企業説明会には、こういった大手企業の人事担当者が国際教養大学の学生に会うために秋田までこぞって足を運ぶ。
 就職氷河期と言われるこの時代だが、加速するグローバル化に対応できる優秀な人材獲得のために、企業は本気にならざるを得ない。そのような企業のニーズに応える魅力が国際教養大学にある。


4年での卒業は半数


 国際教養大学を4年間で卒業できる学生は、約50%しかいない。厳しい教育カリキュラムにその理由がある。  
 国際教養大学の授業は全て英語で行われる。英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ大学なのだ。新入生は入学後、EPAというリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの四技能と、レポートなどの書き方を学ぶ英語集中プログラムを履修する。英語で授業を受ける能力を養成するのだ。しかし、TOEFL500点以上の成績を取得するまでEPAを修了することができない。EPAを終え、英語で学ぶ準備ができて初めて、次の基盤教育というステージに上がる。
 学部は国際教養学部しかなく、基盤教育で文理を問わずに幅広い学問を学ぶ。国際教養大学2年生の上野祥子さんは「高校で専攻しなかった物理を英語の授業で受け、とても苦労しました。ですが、勉強せざるを得ない状況を克服し、自分にもできるのだという可能性を感じて、世界が広がりました」と述べる。
 基盤教育を終えると、グローバル・ビジネス課程とグローバル・スタディズ課程の2コースから成る専門教養教育に進み、卒業に至る。


海外留学が必須 


 しかし、卒業にはもう一つの壁がある。それが一年間の海外留学だ。国際教養大学では、世界で活躍できる国際的な視野とセンスを身につけさせるため、全ての学生に1年間の海外留学を義務付けている。しかし、TOEFL550点以上、GPA成績(評価平均点)2・50以上を満たさなければ留学できず、留学の時期が遅れれば卒業も遅くなってしまう。また、留学先でも正規の授業を受講し、一定の単位を取得することで、4年での卒業が可能になる。TOEFL550点前後を入学条件の目安とする英語圏の大学が多いが、この基準をクリアしている国際教養大学の学生にとっても、正規授業で単位を取得するのは簡単なことではない。しかし学生は、外国語での授業、発言しなければ誰も相手にしてくれない状況を勇気と努力で乗り越え、無事単位を取得し帰国してくる。国際教養大学の中嶋嶺雄学長は「日本では語学留学が多く、アメリカの大学で30単位前後の単位をとる学生がほとんどいないのが実状です。ですから、TOEFLのスコアが取れないと留学させませんし、留学ができなければ卒業できません。そういった様々な節目を大学の中で刻んでいることが良いと思います。そういった過程でグローバル人材になっていき、その結果が就職に繋がっているのです」と留学の意義を述べる。また、例え卒業時期が遅れても、学生は積極的に学校に残り勉強を続け卒業する。ずれ込んだ卒業時期に合わせて、国際教養大学の学生を採用する企業も存在する。


成長を求める学生 


 学生が厳しいカリキュラムに付いていくことが出来るのは、入学時の覚悟と妥協なく大学にふさわしい学生を受け入れようとする入試制度にも理由がある。
 国際教養大学2年生の中野恵里さんは、「厳しい環境の方が成長できるし、能力も上がる」と入学の動機を述べる。また、ある国際教養大学の学生が高校生の時、様々な大学説明会に参加したが、「入学後の勉強は大変だ」と説明していたのは国際教養大学だけだったという。勉強が厳しいと知り、あえて志願し入学してきたのである。国際教養大学の中津将樹入試室長は「大学説明会で、日本の大学に期待しておらずアメリカの大学に行こうと考えていた高校生がいました。しかし、国際教養大学の存在を知り、こういった大学があるならば応募すると言ってくれました。意識の高い学生がいるにも関わらず、彼らのニーズを満たすことができていないのが日本の現状だと知りました」と述べる。
 様々な個性ある学生を受け入れ、大学を発展させるために、入試制度も多様だ。国際教養大学は公立大学だが定員175名に対し、16種類の入試制度を利用し学生を募集する。日程が重なる場合もあるが、1受験生あたり最大5回の受験が可能だ。入学時期は4月と9月の2回で、センター試験を利用しない「特別選抜試験」とセンター試験を利用する「一般選抜試験」がある。「特別選抜試験」では、高校時代などの留学経験、TOEIC・TOEFLのスコアを出願資格に課すものや、9月入学のギャップイヤー入試などを設けている。ギャップイヤー入試を利用した女子学生は、高校卒業後に、フィリピン人研修生を受け入れる農家に約二ヶ月半住み込んだ。そこでフィリピン人労働者と寝食を共にし、彼らが貧困のため、国に送金しようと懸命に働く姿を目の当たりにしたという。通常の大学入試では得がたい体験だ。
 入試の合否判断においても、一人一人をしっかり吟味し、国際教養大学に合う学生を見極める。自らの意見を持ち、表現できる力を図るため、ほとんどの問題を記述式にしている。採点には多大な労力を要するが、「受験生は真剣勝負です。採点は大変ですが、私達も真剣に受け入れなければなりません」と中津将樹入試室長は述べる。一般選抜試験で不合格であった受験生にも意欲と能力があれば、チャンスを提供する。成績が優秀で、国際教養大学で学びたいという強い希望を持つ受験生は、1年間正規学生と同様に授業を受けることができる。単位を取得し、年度末の編入試験で基準を満たせば、正規入学できる「特別科目等履修生制度」も存在する。


道を切り拓く力 


 卒業までにいくつもの厳しい壁を越えてきた国際教養大学の学生は、困難を克服し、自ら新しい道を切り開く開拓精神を持つ。国際教養大学4年生の谷田部夏海さんは「この大学で身に付けたタフな精神でどこに行っても負けない」と胸を張る。日本企業が直面するグローバル化の波に立ち向かう力を持っているからこそ、企業はこの大学に注目しているのだ。中嶋嶺雄学長は、国際教養大学の存在意義についてこう述べる。「今の日本は、猛烈に勉強できる若い時代を無為に過ごしてしまうような教育を行っています。高等教育を改革しなければいけないという危機感と使命感。それがこの大学を作った目的であり使命なのです」。



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