IFSAは外国人留学生のための様々な情報提供、就職・転職支援(日本人海外経験者含む)までを行う非営利団体です。

王 晋民 氏

Top向学新聞内外の視点>朴 熙成 氏


王 晋民 氏 
(千葉科学大学 危機管理学部 教授) 


日本体験の機会増やすべき  短期プログラムの開発を


――外国と日本では震災の報道内容に違いがみられ、風評被害も懸念されます。
 留学生が日本の大学に戻る際に親の反対に遭うのは、日本側の発信が足りないからです。大学から保護者に対して直接メッセージや情報を届けなければいけません。特に、若い留学生の保護者には、大学が留学生を非常に大事にしており、きちんとサポートしているという状況説明を積極的に行う必要があるのではないでしょうか。

――今後の留学交流の促進に何が必要でしょうか。
 留学生30万人計画は、日本のソフトパワーの醸成と、教育産業の育成との両面の目的があると理解しています。私の考えでは、今後は、短期留学のパターンを多く作り、日本を体験する機会を増やすことが必要です。4年や2~3年の留学はかなり大きな目標です。短期留学で日本社会や日本の大学がどんな所か一度見てもらえば、かなり印象に残るはずです。日本が好きになったり、アルバイトしながらやっていけるのかどうかなど、長期留学の目標や手段を考えられるようになり、留学促進の大きなきっかけになります。今後は奨学金のうち体験型留学への支援を増やすことも必要でしょう。

――グローバルな人材獲得競争の中では、日本語がネックになる場合もあります。
 質の高い学生に喜んで来てもらえるようにするためには、結局、日本の大学を「良い大学」にしなければいけないのです。そして、他国との競争に打ち勝って留学生を獲得していくためには、日本留学にどういうメリットがあるのかを打ち出していかなければなりません。
 今の日本社会は、大学の偏差値で人を判断し、学生が何を勉強したかをあまり重視しません。これは大きな問題です。企業はその人が何を勉強したかで採用し、勉強すればどういうメリットがあるのかを示せるような社会を作ることです。そして大学も社会が必要とするものを教えるという、双方の努力が必要ではないでしょうか。それが日本の大学教育の特徴になり、どこに行っても活躍できる人材を輩出できるようになれば、英語でなく日本語で勉強しても損はないということになるでしょう。

――留学生の就職促進が課題となっています。
 例えば留学生の定着を促すために、大学を卒業すれば引き続き日本にいられるような制度を構築するには、社会全体のコンセンサスが必要です。しかしこれから少しずつそういう方向に動くのではないかと思います。人口がだんだん減っていくと必要な人材は残さなければいけません。現状としては日本語ができるかできないかでほとんど決まってしまうようですが、将来的には、外国人を評価する時には日本語のウェイトを少し下げて能力で評価するようにすべきでしょう。
 例えば国立大学の大学院には英語だけで入学・卒業できる制度がありますが、これらは研究者養成が主目的です。今後はもっと多様な人材が日本に残ることができるようなコースを開発していったほうがよいと思います。

――様々な場面で外国人の力を活かしながらこれからの日本を建設していかなければなりません。
 大震災は我々にとって、留学生の多様化や危機管理についてどうするか、大学が時代にどう対処していくかを考えてみる一つのきっかけです。大きな大学が研究者輩出を主目的に掲げるいっぽう、小さな大学は、日本人と留学生との交流や一般市民との相互理解に力を入れながら、日本全体としてどうすれば世界とWin―Winの関係を構築していけるかを考えなければいけません。

――今回の震災で世界中から日本に支援が集まったのは、日本がこれまで留学交流を通して世界と関係を構築してきたからでもあります。
 短期プログラムの意義もそのような点にあります。1週間ぐらいであっても日本の大学がどんなものか体験するだけで、日本に対する親近感はかなり違ってきます。何か自分と関連する経験があれば関心を持ってくれるし、今後の協力体制も作りやすくなるのではないでしょうか。

――関心を持ってもらえるような広報の仕方が必要です。
 欧米豪は「英語を勉強できる」とアピールしますのでメリットを感じやすいです。

――日本に行かなければ体験できない、学問プラスαの魅力をアピールすべきかもしれませんね。
 日本は清潔で安全で治安が良く、アジアからの留学生にとって生活習慣も近いです。それを認識して言葉のデメリットをどう解消できるか考えたほうが良いでしょう。あるいは日本語と英語の両方を習得できるようなプログラムを欧米の大学と共同で作っていくような方向性も考えられると思います。


WANG Jinmin
北京大学・理学士、筑波大学大学院・学術博士。富士通株式会社、図書館情報大学講師、日本原子力研究所・社会技術専門研究員等を経て現職。専門は産業・組織心理学、リスクと危機管理の心理学。

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