IFSAは外国人留学生のための様々な情報提供、就職・転職支援(日本人海外経験者含む)までを行う非営利団体です。

マーク メニッシュ氏

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マーク メニッシュ 氏 
(青山学院大学 経済学部准教授) 


情報はワン・ストップ・ショップで  日本でもGPAの有効活用を

――まず、ご自身の日本留学の経験について教えて下さい。
 文部省(当時)から奨学金を頂きながら、大学院で映画論を研究しました。奨学金に応募する際、入学が決まっていない段階で大学院の先生に指導教官になっていただけないかとお願いしたのですが、快く引き受けて下さいました。そのお陰で奨学金の審査も通過でき、日本で学ぶことができました。奨学金や、親切な教員など様々なものに恵まれ、貴重な体験ができて本当に感謝しています。今ではこうして日本で働くことができ、また在外研究のため1年間パリ大学に留学させていただくなど、とても有り難く感じています。

――日本の留学生受入れの課題は何ですか。
 まず、留学希望者に分かりやすく日本に関する情報を伝えるべきです。英語で「ワン・ストップ・ショップ」と言いますが、学生ビザ、住宅情報、奨学金などあらゆる情報を一つのサイトで知ることができるようなシステムを作るべきです。さらに、それらの情報を少なくとも日本語、英語、中国語の3カ国語で表記した方がいいと思います。特に学生ビザの内容はとても分かりづらく、日本でアルバイトができるかどうかなど、年に2~3回最新の内容をアップデートすべきです。
 また、東京から京都まで旅行に行く場合の交通費など、幅広いコンテンツがあると留学への興味が増すと思います。ポイントは、「最新」の情報を「分かりやすく」発信することです。

――日本留学に関する情報というファーストステップが重要だということですね。
 その通りです。日本語、日本文化、日本人に関心があり、日本に留学したいと思う学生はとても多いです。しかし、米国に帰国する度に日本に留学したいと知人から相談されますが、日本語がまだあまり分からない彼らから、「日本留学についての情報が少ない」という話を聞きます。
 また、個々の大学のHPにおいても、英語で大学の情報を掲載しているところもありますが、ほとんどが曖昧な情報です。入学試験、授業料、奨学金、成績評価など最新の情報を細かく伝えるべきです。米国の州立大学の多くは、入試や授業料から大学生活までHP上で全て公開し、HPを見ればあらゆることが理解できるようになっています。

――東大の秋入学を始め、国際化への大学改革が話題を集めていますが、どのようにお考えでしょうか。
 秋入学は基本的に賛成ですが、留学生の受入れはセメスター制度の活用で十分だと思います。大学改革という面では、授業の数が問題だと思います。日本の大学では一週間に10コマ以上履修しますが、授業の担当教員の名前や授業テーマをしっかり把握しないまま受講する学生が多いです。米国では一週間に4~6コマ程の授業しかありません。その代わり、各授業で毎週一冊本を読む課題が出されるなど、とてもハードです。米国は成績評価も厳格で、高い評価を受けている主要な大学の場合、GPAで2・5以下を取るとまず注意通知が届きます。そして、成績が低い状態が続くと退学勧告が出されるケースもあります。つまり、A~Fの成績評価の場合、B以上を取り続けなければ大学にいること自体が難しいということです。就職の際もGPAが重視され、大学でどれほど勉強したかが問われます。
 日本でもGPAが就職活動で評価されるなど有効活用されれば、学生が変わるチャンスになるのではないかと思います。学生は主体的に授業に取り組むようになり、どの授業を、どの教員から学ぶべきかをより考え、選択するようになります。そうすると、教員も今まで以上に真剣に授業に望む必要があり、大学や企業にも良い影響を与えるのではないでしょうか。
 また、日本は大学院進学希望者がとても少ない状況です。学生が就職活動のメリットにならないと考えているからでしょう。しかし、米国では “He/She has an MBA(経営学修士)”と“He/She has a BA(学士)”では評価が全く違います。それは、大学院と学部では勉強するスキルが違うからです。学部では、「教えられる」ことが中心ですが、大学院では自ら研究したいテーマを設定し、自ら調べて論文を書き上げます。米国企業は、学部卒業生は「2~3年間トレーニングしなければならない」と考え、MBA、MA、MS、MSAなどを取得した学生は「即戦力」と考えているのです。
 日本でよく「グローバリゼーション」と語られますが、物足りなさを感じています。日本では就職活動のため、ゼミや卒業論文が必要ではない学生は実質3年間しか勉強できず、成績評価も甘いのが現状です。留学生からも驚きの声をよく聞きます。例えば企業が、大学院進学者をより評価すれば、大学院進学が増え、学部での4年間も勉強に励むのではないかと思います。まずは、就職活動など日本特有の現状を留学希望者、留学生に分かりやすく伝えることが必要だと思います。

――授業の英語化についてはいかがでしょうか。
 授業は日本語で行われるべきだと思います。専門分野の語彙は何度も聞くうちに身についていくはずです。私はイタリアへの留学経験もありますが、英語でのプログラムを履修しました。しかし、今はイタリア語で学ぶべきだったと感じています。日本語を習得するには、当然1~2年の歳月がかかりますが、留学するならば日本語を勉強すべきだと思います。


Marc Menish
 米国出身。州立フロリダ大学教養学部英文学科卒業。州立フロリダ大学大学院英文学科修士課程修了後、東京大学大学院総合文化研究科超地域文化科学にて博士号取得。1999年より青山学院大学で勤務。専門は超域文化科学。

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