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山本 マルシオさん (ブラジル出身) 
(横浜国立大学 環境情報学府博士課程) 


日本人は海外留学を  「先輩後輩」の良き文化

――日本留学のきっかけは。
 海洋石油開発を勉強したいと思い日本留学を希望しました。母校の先生が横浜国大のOBで、横浜国大と交流していたこともあり、国費留学生として推薦を頂いて来日しました。また、日系4世として曽祖父の祖国を知りたいと思ったことも一つのきっかけです。

――日本留学の3年間で学んだことは。
 私は日本に来る時日本語を勉強してきませんでした。最初は大変で、指導教官とは英語だけで話し、卒業後どうするか聞かれればブラジルに戻ると答えていました。しかし大学の授業や自主的な勉強を通してだんだん日本語能力が上がってきてから生活が楽しくなり、日本人の考え方がわかるようになってきました。今はほとんど日本語だけで話せています。日本語力があまりないからといって同じ国のグループに閉じこもっていると良くないです。留学では他の国の文化を学び、他の国の人と交流することが大切です。

――日本の大学について感じることは。
 ブラジルの大学では海外留学する人が多く、学生の半分は在学中に欧米等に留学します。私も学部生の時にアメリカ留学しました。日本の学生があまり海外留学しないのは大きな問題だと思います。留学することで他の文化や社会について知り、自分の国と比較することができるのです。また、英語についてですが、日本の学生たちは就職活動で必要となる英語試験についてかなり心配していました。母校のカンピナス州立大学の工学部生だったとき、クラスメイトはみな英語ができましたが、日本ではできる人があまりいません。私が来日当初に研究室で英語ができた日本人は二人だけで、その二人とだけコミュニケーションしていました。ブラジルではみな留学や就職活動のために英語を勉強しますが、日本人はなぜ勉強しないといけないのかわからないようです。私から見るとなぜ勉強しないのかがわかりません。

――いっぽう、日本人から学んだことは。
 先輩後輩の関係です。経験ある先輩が後輩を指導して、後輩が先輩の手伝いをするという日本のシステムは良いと思います。研究室の先輩からは様々なことを教えてもらいましたので、私も後輩に教えていくのかなと思います。きちんと教えたりアドバイスしたりする文化は良いと思います。

――将来の目標は。
 母国の先生が留学後も日本との交流を続けていたおかげで私が日本に留学できたわけです。私も同じように日本との交流を続け、他に日本留学を希望する学生がいればそのお手伝いをしたいと思っています。いずれはブラジルの母校の教授として戻りたいと思っています。



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