三浦 美樹氏 
(一橋大学 キャリア支援室特任講師) 


広報活動の短期化へ

「協力得る」力が不可欠


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 2年連続での就職活動スケジュールの変更が決定した。新スケジュールでは何に注意すべきなのか。一橋大学の三浦美樹氏にお話を伺った。


――昨年12月、経団連が「採用選考に関する指針」を改定し、企業の選考活動開始が8月から6月に早まりました。昨年の就職活動にはどのような問題点があったのでしょうか。
 
 昨年は、おもに学生が学業に専念できるようにするという趣旨で、企業説明会などの広報活動が3月から、選考が8月からスタートしました。しかし広報期間が5ヶ月と、2011年以降では比較的長く、かえって学業と就職活動の両立に苦労する学生が多かったように感じます。就職先が決まらない不安のなかで、通常授業、学期末試験、卒業論文の準備などに取り組まなければなりませんでした。
 また、一部の企業は8月の正式な選考前に、「模擬面接」や「社員交流会」と称して多様な形で学生との接点を設け、実質的な選考を行っていました。そういった活動は情報がオープンにならないため、チャンスがあった人となかった人とに分かれ、学生間で不安が広がったという状況もありました。


――経団連も学生・大学・企業それぞれに弊害があったと認め、反省を踏まえて選考開始を早めました。スケジュール変更でどのような影響が考えられるでしょうか。

 現段階で最も懸念している点は、「広報活動の短期化」です。「3月説明会→6月選考」では3ヶ月しか広報活動期間がありません。かつてない短さです。2013年卒採用の広報活動は、その前年よりも2ヶ月短い4ヶ月間で行われましたが、選考を終えた企業側から「学生の企業研究・業界研究が浅い」と不満の声が上がっていました。事前準備を十分せず企業説明会のスタートと同時に就職活動を本格的に始める学生が多い現状においては、広報期間が長ければ多様な企業・業界を見て回ったり、志望先を選び直したり自己PRを練り直したりできるという一面もあります。今年はその期間が短くなる分、自己分析や企業研究・業界研究といった就職活動の土台固めに早く取り組むことが一層必要になるでしょう。


――留学生はどのようなことに気をつけて就職活動に臨めばよいのでしょうか。

 留学生は日本人学生と比べて就職活動のコツを掴むのに時間がかかってしまうため、周りの人たちの協力を得ることが重要です。短期決戦となるからこそ、自分の力だけでは限界があるのです。
 昨秋、これから就職活動に取り組む留学生を対象にしたガイダンスを開催した際、就職先が決まったある韓国人留学生に体験談を話してもらいました。自分の力だけでも就職活動を乗り切れそうな活発な人でしたが、就職活動の秘訣として「周りの力を借りる」ことを強調していました。例えば、先輩たちにエントリーシートを見せてもらい、単純にお手本にするのではなく、客観的視点から良い点・悪い点を分析したそうです。その結果、「自分のことを知らない人にアピールするためには、とにかくわかりやすいことが重要だ」と気が付きました。それからは、キャリアセンターや友人に頼んでエントリーシートを何度も見てもらい、わかりやすいエントリーシートの作成に注力していました。面接対策も、寮生同士で「遠慮せず厳しいフィードバックをする」と決め、模擬面接を繰り返し繰り返し行ったそうです。
 就職活動では「落ちる」経験が積み重なるので、周囲に対して「かっこ悪い」と思ってしまう留学生が少なくありません。しかし、「協力を得る」力は就職活動でも就職後にも不可欠です。プライドや遠慮にとらわれず、先輩やキャリアセンターに相談する、あるいは切磋琢磨できる友人関係を作るようにしてください。




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