IFSAは外国人留学生のための様々な情報提供、就職・転職支援(日本人海外経験者含む)までを行う非営利団体です。

トップに聞くグローバル教育の行方

Top向学新聞トップに聞くグローバル教育の行方>滝澤正氏(上智大学学長)×佐々木瑞枝氏(武蔵野大学名誉教授)

滝澤正氏(上智大学学長)        
×佐々木瑞枝氏(武蔵野大学名誉教授)
 


「3言語×3視座」への取り組み  
世界に広がる上智コミュニティー

 1549年に聖フランシスコ・ザビエルが来日したが、彼は日本人の資質を高く評価していた。そして、日本の首都に大学をという希望をローマへ書き送ったことが上智大学設立に結びついたという。今回は、上智大学の滝澤正学長に武蔵野大学の佐々木瑞枝名誉教授がお話を伺った。


(佐々木) 上智大学はどのような教育理念をお持ちなのでしょうか。

(滝澤) 本学は「他者のために、他者とともに生きる」、「学際的なネットワーク」、「グローバル・コンピテンシー」という3つの教育精神の下に、21世紀のリーダーを育成したいと考えています。日本の首都・東京に大学を設立するため、大正時代に欧州から3人の宣教師が来日し本学が創設されました。今年は創立100周年を迎えましたが、奉仕の精神と国際性は創立当初から本学のアイデンティティーなのです。

(佐々木) キリスト教精神の養成、そしてグローバル人材の育成にあたって、具体的にはどういった取組みを行っているのでしょうか。

(滝澤) まず、「キリスト教人間学」が全学部必修となっており、現代社会における人間とその生き方を総合的に学ぶことができます。また、これまで文部科学省のグローバル30(国際化拠点整備事業)採択校として国際化を推進してきましたが、昨年「グローバル人材育成推進事業」に採択され新たなプログラムを開始させました。それが「3言語×3視座」をコンセプトにした外国語学部の取組みです。3言語とは、母国語の日本語、世界共通語の英語、英語以外の他言語の習得を意味しており、英語だけに特化していない点が特徴です。そして3視座とは、日本発信力、地域多様性の理解、地球規模の課題発見・解決力の養成です。

(佐々木) 英語以外の言語にはどういったものがあるのですか。最近ではアセアン諸国との経済交流の発展などにより、多様な地域の言語を学ぶ必要性がありますよね。

(滝澤)そうですね。日本語以外で、ドイツ語、フランス語、ロシア語、タイ語、ビルマ語、インドネシア語など17ヶ国語を学ぶことができます。「3言語×3視座」の取組みは外国語学部から開始しましたが、段階的に全学へ波及させていきます。

(佐々木) 時代に即した素晴らしいプログラムですね。外国人留学生の受け入れ状況はいかがでしょうか。

(滝澤)2012年度は約1150名の外国人留学生が本学で学んでいます。アメリカ人学生が200名以上在籍するなど、日本で最も欧米出身の留学生を受け入れている大学の一つです。海外協定校が32カ国168校あり、毎年多数の外国人留学生の受け入れを行っています。

(佐々木) 外国人留学生の受け入れも重要ですが、産業界が必要としているグローバル人材像と大学が輩出する人材との間のミスマッチが指摘されることも少なくありません。その点についてはどのようにお考えでしょうか。

(滝澤)国際ビジネスの現場で活躍できる人材を育成するため、日本経済団体連合会(経団連)と共催で「グローバルビジネスの現状と課題」という講義を昨年秋から開講しました。住友化学、ソニー、日立製作所、三菱商事など多様な業界12社から講師が派遣され、36名の選抜学生が受講しています。製造業から金融、情報通信、物流などを輪講形式の授業で受講し、グローバルビジネスの最前線の様子を直接学ぶことができる貴重な機会になっています。上智大学がパイロット大学となり、今後他大学にも展開していく予定です。

(佐々木)創立から100年間、上智大学は日本のグローバル教育を先導してきましたが、次の100年はどのようなビジョンを描いていらっしゃるのでしょうか。

(滝澤)グローバル教育を更に進化させるため、今年1月から前駐米特命全権大使の藤崎一郎氏を特別招聘教授・国際戦略顧問として招聘しました。これまで大使や国連職員などの立場で実務を経験した教員が本学にはいませんでしたが、国際舞台での実体験を持つ方が教育現場には必要だと考えました。世界的なネットワークもお持ちであり、それを教育に反映していただけることを期待しています。既に先日、駐日米国大使であるジョン・V・ルース氏を本学に招き講演を行っていただくなどしております。

(佐々木) 上智大学での学びはとても充実していますね。卒業生はどういった立場で活躍されているのでしょうか。

(滝澤)国連や民間企業などで国際的に活躍している卒業生は非常に多いです。例えば、スペイン語圏の現地法人に足を運ぶと、必ずと言っていい程本学の卒業生が働いています。さらに卒業生同士のコミュニティーも存在し、その繋がりは世界中に広がっています。

(佐々木) それは素晴らしいですね。日本を代表するグローバル大学として、益々の発展を期待しています。今日はお忙しい中、貴重なお話をどうもありがとうございました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
たきざわ ただし 東京大学大学院法学政治学研究科で法学博士号を取得。上智大学法学部助教授、教授を経て、2011年4月に上智大学長に就任。上智大学法科大学院教授、大学評価・学位授与機構法科大学院認証評価委員、最高裁判所図書館委員等も務める。



a:2049 t:1 y:0

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional