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トップに聞くグローバル教育の行方

Top向学新聞トップに聞くグローバル教育の行方>原島文雄氏(首都大学東京学長)×佐々木瑞枝氏(金沢工業大学客員教授)

原島文雄氏(首都大学東京学長)        
×佐々木瑞枝氏(金沢工業大学客員教授)
 


大学ランキングで引用論文世界一  
留学生「研究の質高い」から首都大へ

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 世界大学ランキング・引用論文の項目で、ハーバード大学やオックスフォード大学よりも高い評価を得た大学が日本にある。それが首都大学東京だ。今回は首都大学東京の原島文雄学長に金沢工業大学の佐々木瑞枝客員教授がお話を伺った。


(佐々木) 首都大学東京は世界の大都市・東京都の公立大学ですが、どのような目的で設立されたのでしょうか。

(原島) 首都大学東京は2005年に、東京都立大学・東京都立科学技術大学・東京都立保健科学大学・東京都立短期大学を再編・統合して出来た大学です。都市教養学部・都市環境学部・システムデザイン学部・健康福祉学部の4学部28学科・コースを有します。 
 都民の税金で支援して頂いている大学であり、大都市社会が抱える重要課題である環境問題や知的社会、充実した長寿社会構築に対応する構成になっています。学部2年次までは研究の基礎となるリベラルアーツ教育を行なうなど米国のトップスクールと同様の教育方法に取り組んでいます。
 英国高等教育誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが公表している2013―2014「世界大学ランキング」で、本学は221位にランクインしました(最新の2014―2015版では239位)。日本国内でいうと、東京大学、京都大学などに続いて6番目(最新では7番目)になります。
 本学が世界的に評価されている点は、特にCitations(引用論文)の部門です。同部門ではマサチューセッツ工科大学と並び世界トップの100ポイントを取得しました(最新版でも100ポイントを獲得し2年連続の世界一)。引用論文の分野では世界ランキング総合1位のカリフォルニア工科大学や2位のハーバード大学よりも上なのです。

(佐々木) それはすごいことですね!なぜ引用論文の部門で世界一の評価を得ているのでしょうか。

(原島)その理由として、特に世界一の評価に貢献している2人の研究者をご紹介したいと思います。まずは金の触媒作用の研究でノーベル賞の有力候補と目される春田正毅教授です。春田教授は、2012年にトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞しており、論文の引用頻度が科学分野全体のトップ0・05%とずば抜けています。教授は金を直径5nm以下の微粒子にすることで特殊な働きをする金ナノ粒子の触媒作用を発見しました。最近では、さらに微小な直径2nm、原子数200以下の金クラスターに注目し、革新的な触媒作用を生み出す特定の原子数および立体構造の探索を始めています。
 次に、ゲノム解析などの生命科学分野でトップクラスの被引用論文数を誇る田村浩一郎教授です。田村教授の研究論文はその分野の根幹をなすもので、同分野研究者は、彼の研究論文を引用せずには論文を書くことができないという状態です。

(佐々木) 優秀な研究者の存在は、世界規模での優秀な学生の獲得に直結します。どのように研究者を採用し、どのような動機で留学生が首都大学東京を選ぶのでしょうか。

(原島)才能ある優秀な人材を採用すべく、世界中から公募で研究者を集めています。外国人教員は約20名で、准教授以上はテニュア制(一定任期中の業績を審査し合格者に雇用保証を与える制度)を導入しています。
 また、外国人留学生は414名で7割が大学院生です。大学院の専門分野を見ると文系では109名、理系では179名在籍しており、特に文系では日本語教育学や社会学、理系分野では化学、都市環境科学、メカトロニクスなどの分野が留学生に人気です。本学を留学先に選んだ理由を聞いてみると、「著名な教員の指導を受けたい」、「国際共著論文が多く、研究レベルの国際的評価が高い」、「実験施設が充実しており研究の質が高い」、「世界大学ランキングで日本国内6位」などの声があり、やはり本学が持つ強みと留学生の留学動機が一致しています。

(佐々木) まさに日本の大学が目指すべき、留学生獲得のあり方ですね。その他に留学生受け入れプログラムやサポート体制は整っているのでしょうか。

(原島)学部生対象の短期留学生受け入れプログラムである「SATOMU」(Semester Abroad at Tokyo Metropolitan University)を提供しています。海外大学の交換留学生を半年~1年間受け入れるもので、世界18カ国・地域31大学と協定を結んでおり、豪州、英国、ドイツ、オーストリア、フランス、韓国、台湾などからの交換留学生が学んでいます。ここでは、
都市における社会・産業・環境などの状況や、日本文化、科学、技術など首都大学東京ならではの科目を英語で履修できます。初級から上級レベルの日本語学習科目も準備していますし、専門分野の教員から英語で研究指導を受けることも可能です。
 また、来年4月から都市教養学部理工学系生命科学コースでは、全て英語の講義等で学位が取得できるコースが始まります。

(佐々木)留学生にとって充実したプログラムですね。本日は貴重な話をお聞きでき大変参考になりました。ありがとうございました。
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はらしま ふみお 1967年東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了。1980~98年東京大学生産技術研究所教授、文部省宇宙科学研究所客員教授、アメリカ電気電子学会産業電子工学ソサイアティ会長などを務める。2000年に東京大学名誉教授。2009年から首都大学東京学長に就任。



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