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トップに聞くグローバル教育の行方

Top向学新聞トップに聞くグローバル教育の行方>松永是氏(東京農工大学学長)×佐々木瑞枝氏(金沢工業大学客員教授)

松永是氏(東京農工大学学長)        
×佐々木瑞枝氏(金沢工業大学客員教授)
 


国際公募で世界から教員採用  
ASEANとの連携プログラムを充実

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 農学・工学の二分野を持つ理系国立大学である東京農工大学。学部学生の7割が大学院に進学しており、学士~博士までの一貫とした理系グローバル人材の育成に取り組んでいる。教員、職員のグローバル化も図り、学内全体の改革が進んでいる。今回は東京農工大学の松永是学長に金沢工業大学の佐々木瑞枝客員教授がお話を伺った。


(佐々木) 東京農工大学では、どのような人材育成に取り組んでいるのでしょうか。

(松永) 本学は農学と工学の二分野からなる唯一の理系国立大学で、理系のグローバル人材を育てるという明確な方針をもっています。理系は文系とは異なり、学部・修士・博士課程までの教育体制を一貫として考えなければいけません。本学学部生の約7割は大学院に進学するため、例えば学部段階では短期~長期の海外経験を積み、修士課程で国際学会等でのプレゼンテーションで実践を重ね、博士課程で海外大学の研究者と共著論文を執筆するといった一連のグローバル人材育成計画を立てて取り組んでいます。現在も米国や欧州の大学とエネルギー・食料など様々な分野で協同研究を行っており、若手研究者が世界を舞台に活躍しています。

(佐々木) グローバル人材育成には、国際色豊かな学内環境が欠かせませんがいかがでしょうか。

(松永)世界から優秀な若手研究者を採用するため、2006年から「テニュアトラック制度」を導入しました。テニュアトラック制度とは、国際公募により5年間の一定任期で若手研究者を雇用し、任期修了後は任期中の成果を審査して、優秀と認められた者にテニュアポスト(安定的な職)を用意する制度です。研究資金・設備など充実した研究環境の整備、第三機関である学外委員による選考審査で透明性の高い人材採用を行い、意欲ある若手にとっては非常に魅力的な条件になっています。

(佐々木) それは画期的ですね!どのような人材を採用してこられたのでしょうか。

(松永)様々な手法で募集をしましたが、2006年は世界的権威である総合科学雑誌「Nature」で「Tenure―track positions」という国際公募を行い、22名の枠に800名以上の応募が集まりました。最終的に、ドイツ、インドネシアやタイといった3名の外国人を含む多様性に富んだ人材を採用することが出来ました。ハーバード大学やカリフォルニア大学リバーサイド校など世界のトップ大学で働く日本人研究者も採用でき、学内の雰囲気がどんどんと変わってきています。現在もテニュアトラック制度での採用を継続し、教員の約15%はこの制度を経ています。

(佐々木) 勤務先として世界から外国人材が集う魅力的な制度ですね。教育面での国際交流はいかがでしょうか。

(松永)現在約340名の外国人留学生が本学で学んでいますが、更に留学生を受け入れたいと考えています。特にASEANは世界の成長セクターとなっており、今後ASEANとの連携プログラムを充実させていきます。昨年度、インドネシア・タイ・マレーシアの8大学と茨城大学・首都大学東京・本学の3大学による「ASEAN発、環境に配慮した食料供給・技術革新・地域づくりを担う次世代人材養成」プログラムが文部科学省事業に採択されました。1大学ではカバーできない幅広い分野で質の高い国際プログラムを提供し、外国人留学生の受け入れ・日本人学生の派遣を活発化させる予定です。
 本学独自の教育内容で言えば、国際環境農学専攻は54名中半数の27名が外国人留学生となっています。出身国・地域は中国、ウズベキスタン、イラン、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ガーナ等バラエティ溢れる留学生ばかりです。途上国の地域開発において、総合力を持つジェネラリストと科学技術基盤を持つスペシャリストの両面を併せ持つ人材育成に取り組んでいる専攻で、日々留学生と日本人学生が一体となって研究に励んでいます。

(佐々木)国際公募による教員、学生のための国際プログラムなど農工大の進んだ取り組みに心が躍ります。

(松永) ありがとうございます。ですが、教員・学生のグローバル化だけでは不十分で、職員のグローバル化対応も重要な要素となっています。そのため、職員も英国のブライトン大学や米国のニューヨーク州立大学バッファロー校に半年間派遣しています。海外派遣に率先して女性が手を挙げており、女性の活躍が目覚しい状況です。このように、教員・職員・学生という全てのフェーズで改革を行い、日本人・外国人、男性・女性の枠に囚われないグローバルな大学作りを進めていきたいと思います。

(佐々木) 意欲的な取組みに感銘を受けました。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。

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まつなが ただし 1979年東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。1982年から東京農工大学で勤務。工学部教授、工学部長等を経て2011年に学長就任。


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