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人道目的の地雷除去支援の会

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人道目的の地雷除去支援の会 


  今月は、NPO法人人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)の冨田洋事務局長に、活動内容などについてお話をうかがった。


地雷除去に企業が協働

――JAHDS発足の経緯について。
冨田  私が設立したジオ・サーチ株式会社が92年、道路の陥没を防止するための路面下空洞探査システムを発明したことを国連の地雷除去責任者が聞きつけて、「残留した地雷のために復興が妨げられている地域で活用できないか」と訪ねてきたのが最初のきっかけです。その後地雷除去の専門家会議で、子供を標的にした地雷がもたらしている悲惨な現状を知り、地雷除去の支援活動をボランティアで始めました。

――具体的にどんな支援を行っていますか。
冨田  例えば技術面では、地中に埋設されたものを土の表面に触れることなく可視化することができるレーダー式地雷探知機を開発しました。これについてはコンピュータソフトを日本IBM、センサー部をオムロン、全体のコンセプトをジオ・サーチが担当し、現地に投入してどんどん進化させています。このように企業の様々な強みが活動に活かされています。得意分野の技術や資機材、人材を無償で提供し協力し合うアライアンス(協働)が組織のコンセプトですが、こういう形の組織は世界にも例がありません。

復興支援の手段

――世界の対人地雷の現状は。
冨田  およそ1億個の地雷とその数倍の不発弾がまだ残っているといわれており、アジアではメコン圏の国々、特にタイの国境付近に残留の恐れのある危険地域が多く存在しています。農業で暮らす現地の人たちにとって土地が使えないのは致命傷で、なかなか復興できず貧しい生活を強いられています。道路もできず人がアクセスできないので、地域には病院すらありません。このようにインフラ整備ができないのが地雷のもたらす最大の悲劇だと思います。ですからわれわれの第一の目的はそういった地域の復興と自立を支援することにあり、その手段として地雷除去があるのです。


――活動の成果としてどのようなことがありますか。
冨田  タイのサドックコックトム寺院の地雷除去プロジェクトは、JAHDSがはじめて直接指揮をとり地雷除去チームを作って行いました。完了までに1年を要し、総面積41万㎡と甲子園球場の10倍以上の土地から、48の地雷、30の不発弾、22万個の薬きょう等を除去し、昨年末に安全確認を完了しました。実際の除去作業には現地の人間をリクルートして使いましたが、そうすることで自分たちが汗を流して自分たちの地域をよみがえらせているという誇りが出ます。一方的に援助に頼る気持ちは払拭しないといけません。支援する側される側という区別なく、安心して生活できる土地を一緒に甦らせるのです。一緒にやったのですから気持ちが伝わります。形だけのお金の援助より、そういう気持ちが通じ合う支援が大切なのです。


――現地の人々に希望を与えたということですね。
冨田  そうですね。土地の安全が確認されれば自然と自立していきます。すでに露店なども出始め、現地は多くの人が集う憩いの場になっています。ガラヤニー王女からは感謝のメッセージを頂きましたし、復活を祝って、寄付して頂いた関係者や団体の名を刻んだ石碑も建ちました。これらの成果が、皆でやってよかったということの証です。


恩返しとしての社会貢献

――冨田さんの考える社会貢献のあり方とは。
冨田  私にとってこういう社会貢献活動は「恩返し」の一つの形のような気がします。自分があるポジションを得られたり生活できたりしているのは、家族や様々な人の応援があるからです。その恩を間接的に返す方法があるとしたら、自分よりも困っている人たちに返してあげることだと思います。かつて経営者としての恩師である京セラ創業者の稲盛氏から指摘を受けたのは、そこでした。「企業の存在理由は世の中の役に立つこと、目的は社員を含めてみんなが幸せになることだ」と。だから実は社会貢献活動とは企業の存在理由の確認行為なのであって、なにも社外的なPRであるわけではないのです。「困っていたら助けよう」というのは専ら宗教的、犠牲的精神であるわけではなく、あたりまえの本能ではないかという気付きが、私がこの活動を通じて得られた最もすばらしいものだったかもしれません。


――これからの活動は。
冨田  次のプロジェクトでは、カンボジアとタイの国境に位置しているカオ・プラヴィーハンという遺跡を浄化します。これはおよそ1000年前に英知を傾けて造られた文化の象徴で、アンコールワットを越える技術レベルで作られているのですが、今も手付かずのままなのです。ここを浄化すれば、多分年間30万人は観光客が来るだろうと見ています。すると観光収入が発生しますから、雇用機会の育成と経済的自立につながり、それに伴い治安が向上するといった効果が明確に出るわけです。安全を確保できれば、子どもたちに自然を学習する場としても提供できます。
  今、一般にも広く支援を募りながら準備をしている段階で、今年4月か5月ぐらいにはスタートしたいと思っています。

※ホームページアドレス http://www.jahds.org/

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