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フアイスン ウヤル槙林さん (トルコ出身) 
(同志社大学グローバル地域文化学部助教) 


アイデンティティを貫く日本 学生の特権「何でも質問できる」

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―――いつ来日したのですか。
 2004年に文部科学省の国費留学生として、山口大学大学院に入学しました。日本へ来る前、中東工科大学(アンカラ・トルコ)で国際関係学を研究し、周りの友人が皆欧米に留学する中、私は日本留学を選びました。

――なぜ日本を留学先に選んだのでしょうか。
 大きく分けて二つの理由があります。まず、戦後の日本の経済的発展に興味があったからです。ハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授が、「Japan As Number One」という著作を執筆したように、その成長には目を見張るものがありました。
 二つめは、日本は明治時代の開国以来、西洋化を進めながらも独自のアイデンティティを貫いてきたことに関心があったからです。母国トルコは、地理的に欧州とアジアにまたがっており、トルコ人はどちらの地域に属しているのかアイデンティティについて長く考えざるを得ない環境でした。トルコ共和国の初代大統領でありトルコ人にとって建国の父であるムスタファ・ケマル・アタチュルク氏が、トルコ人のアイデンティティと日本についてこう語っています。「我々はアジアから来た遊牧民だったが、トルコ共和国として西洋化しながら自らのアイデンティティを保持することが重要だ。まさにそれを実現している日本という国がある。日本を学ぼう」。私は、この言葉を意識していたのです。日本に留学してからもカルチャーショックはなく、ますます日本について学びたいと思いました。

――とても深いお話ですね。現在の業務内容について教えて下さい。
 同志社大学グローバル地域文化学部の助教として、アジア・太平洋コースで特に東アジアとアジア・太平洋における地域協力や社会開発についての講義とセミナーなどを担当しています。設立してまだ2年目の学部で、これから本格的な教育活動が始まります。私自身は、グローバルな観点から現代世界の各地域における諸問題、とくに経済と環境の問題の解決に向けて、持続性のある地域協力(cooperation)とは何か、研究をしています。

――最後に日本で学ぶ留学生へのアドバイスを。
 海外で学ぶせっかくのチャンスですので、日本の言語および文化に興味をもって、深く経験して欲しいと思います。私自身も外から日本を眺めるだけでなく、山口大学という日本の中で勉強ができ非常に刺激になりました。また、学生時代の特権は「何でも質問できる」ことだと思います。興味・関心があることについて一所懸命質問し、楽しく勉強することが留学生活の宝になるはずです。


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