Top向学新聞日本で働く留学生OBたち>マジード ムザマルさん


マジード ムザマルさん (パキスタン出身) 
(株式会社オートロジスティクスジャパン(ATL)) 


転職4ヶ月で支店を開設
規模ではなくやりがい重視


画像の説明


中古自動車業界

 中古自動車の海外輸出入業者向けに貿易手続きなどのサービスを展開するATL(本社・福岡県)。営業担当のマジードさんは今年1月に転職してわずか4ヶ月で三重県に新たな支店を開設した。「東海エリアの輸出業者は関西圏よりも数が多く有益な地域だった。今後は関東にも進出する予定だ」と今後の展望を語る。バイタリティ溢れる働きぶりは会社から高い評価を得ている。
 


在学中に起業


 日本に留学したのは2005年。友人や親戚がアメリカ、イギリスに留学するなか、「他の人とは違う挑戦がしたかった」と大分県の立命館アジア太平洋大学に入学した。しかし同大学は英語のみで卒業できるため、「日本語で勉強し大学を卒業したい」と独学で日本語能力試験N1を取得し、兵庫県の関西学院大学に編入。在学中には、MITフォーラムコンテストでマイクロソフト特別賞を、「キャンパスベンチャーグランプリ」では優秀賞を獲得するなどビジネスコンテストで結果を残してきた。また、関西学院大学発の学生ベンチャーとして、印刷物などをITの力で多言語化する「株式会社PIJIN」をメンバー4人で設立した。
 


日本のサービス


 大学4年の6月頃から就職活動を始めて、中古自動車業界に目をつけた。「日本で多くのパキスタン人が中古自動車業界で活躍している。自分にもチャンスがあると思った」からだ。新卒時は中古自動車の販売・輸出入支援を手掛ける業界大手企業に入社し、厳しい研修を3ヶ月間積んで独り立ちを許された。「日本企業は商談などの営業スキルを身に付けるまでお客様の前に出してもらえないが、その厳しさのお陰でスムーズに仕事を進めることができるようになった」と振り返る。3年間でマーケティング、貿易オペレーション、営業を経験。輸出入業者から信頼を得るため、外国人で唯一社内貿易実務テストに挑戦し見事合格した。日本語、英語、ウルドゥー語などの多言語能力と豊富な貿易知識を得た結果、営業成績もどんどんと伸びトップセールスマンの一人となった。しかし営業で結果を残す秘訣は能力だけではなく、「一期一会という言葉があるように、人を大事にする日本のサービス精神こそがお客様からの信頼に繋がった」と強調する。


規模が小さい会社に転職

 より自分の力を発揮できる環境を求めて今年1月に転職を決断しATLに入社した。前職と同じ中古自動車業界の会社だが従業員数などの規模は小さくなった。「周りの友人たちからも『規模が小さい会社に転職したけど大丈夫なのか?』と聞かれたが、自分の力がダイレクトに会社の発展に反映されやりがいを感じている」と話す。「日本で就職したい留学生には、企業規模に捉われずやりがいを重視してほしいと伝えたい。どの企業に入ったとしても、日本のサービスのクオリティーを身に付けることができれば世界のどこでも成功できるはずだ」と力を込める。



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