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牛 晨雨 さん 

二松學舍大学 文学部  中国出身


江戸風鈴体験記


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心込めてものを作る職人の誇り実感

ガラスを吹いている牛晨雨さん

  ガラスを吹いている牛晨雨さん


 光陰矢の如し。知らず知らずに、日本に来てからもう半年になった。自分の身をもって、日本独特な文化をたくさん体験したが、一番印象深いのは、やはり江戸風鈴だ。ぜひ皆さんとシェアしたいのだ。


 江戸風鈴文化体験とは、ガラス吹きから、絵を描くまで、全部自分の手でガラス風鈴を作ることだ。


 去年の12月8日に、私は友達と一緒に、東京都江戸川区にある江戸風鈴を作り続ける篠原風鈴本舗に行った。その本舗には300年の歴史があるそうだ。そよ風、柔らかな日差しはこれからの楽しい体験を予告しているようだった。


 予定より15分ほど早く目的地に到着した。店の入り口の装飾はとても味わいがあるので、私たちはまずそこで写真を撮った。次に、ロビーに入り、額に入れて壁にかかっている多くの賞状やさまざまな作品を鑑賞した。普通に見える作品もあったが、驚くほど美しい作品が多かった。

店の前で
店の前で


 そして、スタッフに連れられてガラス吹きのところに行った。そこで、職人たちは風鈴をどうやって吹くのか、注意点は何かを、実演しながら教えてくれた。


 まずは、ガラス棒で1320℃の炉の中から、溶けたガラスを一円玉ぐらいの大きさに巻き取って、それをゆっくり回して吹いて、口玉という小さな玉を作った。そして、口玉の上にもう一度、ガラスを巻いた。この部分が風鈴本体になった。本体の部分を少し膨らまし、柔らかいうちに、針金で、糸を通す穴をあけた。それから、最後に一息で膨らました。これは風鈴の形と音を決める重要な段取りなので、特に気をつけなければならないと注意してくれた。最後に20分ぐらいすると、冷めて触れるようになって、口玉の部分を切り落として完成だった。


 難度が高くて、危険性があるので、私たちの体験は職人の指示の下で行った。彼らは外国人の私たちへの配慮から、ゆっくり話してくれて、言葉もなるべく簡単にした。そのおかげで、私は初めての試みに成功して、とても嬉しかった。

創作している最中の様子
創作している最中の様子


 風鈴が冷えて固まるのを待っている間、スタッフは絵を描くときの4つの注意点を教えてくれてから、顔料と筆などの用具を用意して、良い創作環境を提供してくれた。とても周到だと思った。それから、みなは自分の好きなままに創作し始めた。風鈴の内側から、絵を描くのはちょっと難しいけど、とても面白かった。私が気持ちを落ち着けて、描画に浸かったから、時間はいつの間にか過ぎ去った。最後に、職人が私たちの風鈴を一つ一つひもと短冊を結んでくれたとき、お上手だと褒めてくれて、とても達成感があった。

牛晨雨さんが作った風鈴

牛晨雨さんが作った風鈴


 この体験を通して収めたのは、自分が心をこめて作って、世界に一つしかない風鈴だけでなく、手作り職人の大変さを知ることもできた。自分の身を持って、試してみたら、普通に見える風鈴でも随分心血が注がれたことを知った。経済が速く発展している世の中で、気持ちを落ち着けて、心を込めて、ものを作る日本の職人の誇りを感じた。伝統を受け継いでいく職人の精神に対して、心から敬服している。要するに、いろいろ勉強になって、とても忘れがたい体験だった。


 風鈴の澄んだ音には涼の風情が感じられるので、いまでも日本の夏に欠かせない風物詩である。ちょうど、夏が近づくので、皆さんも是非行ってみることをおすすめする。



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