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向学新聞2021年7月記事より>

政府主導各種政策が進展

当事者の声の汲み上げ、周知の面で課題

省庁の政策

 政府主導で多文化共生社会を目指す「外国人受け入れ・共生に関する総合的対応策」が策定されて2年半。外国人も生活し、働き活躍しやすい社会づくりに、国を挙げて取り組んでいる最中だ。各種検討会や会議では、有識者委員だけでなく、現場の事情に通じる様々な人からヒアリングをし、政策の方向性の検討や、ツールの開発にあたっている。日本社会における外国人材の重要性が再認識され、議論や制度設計が加速している点はこれまでにない大きな進展だ。

 特に、これまでは「外国人に対してどのような制度や支援が必要か」という観点での議論がほとんどだったのに対して、最近の政策では「受け入れ側である日本人の意識改革も必要である」ことが明文化され、異文化コミュニケーションに関して、国が取り組み始めた意味合いはとても大きい。
 一方、見えてきた課題は何か。

 一つは、外国人当事者達の声が、なかなか汲み上げられにくい点だ。個々のエピソードについては報道で見聞きしたり、関係機関から上がってくることがあるが、全体としてどのような問題を抱えているかなどの、統計に基づく現状がなかなか見えにくい。

 二つ目は、省庁の政策や開発したツールが、その情報を必要としている外国人や関係者に届きづらい、という周知の面である。外国人の情報収集のネットワークは、日本人以上に多岐にわたり、ここに知らせれば周知できる、というルートがない。それだけに、省庁のみならず地方自治体、在籍する学校、企業団体、国別コミュニティ、地域ごとのコミュニティなど、様々なルートを通じて、連携しながら周知し、活用されることが求められている。(二面に関連記事)

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