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「今後も日本に残る」9割強

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向学新聞2011年4月号記事より>


「今後も日本に残る」9割強

国際留学生協会 東日本大震災 外国人意識調査
 

報道には国内外で違いも   セーフティネット構築が課題

 特定非営利活動法人国際留学生協会(東京都千代田区)は、3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)について、外国人・留学生へのアンケート調査を実施した。交通機関やライフラインの障害など、急変した生活環境に対する不安や戸惑いの声が多数挙がっている。いっぽうで全体の9割強が今後も日本に残ると回答し、海外の震災報道に触れて心配する親族を説得しながら、復興を信じて日本にとどまる外国人・留学生の実情が浮かび上がった。

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 調査はインターネットによる無記名回答で、回答数は392件。調査対象は日本で生活する外国人や留学生で、一時帰国中の者も含まれる。全体の6割が学生で、4割が既卒あるいは社会人だった。

 「地震の当時どこにいたか」については、東京都(35%)、大阪府(16%)、神奈川県(7%)の順だったが、「現在どこにいるか」については東京都(19%)、母国に一時帰国中(19%)、大阪府(17%)となっており、地震を機に帰国した者が東日本に多いようだ。

 「今回の災害で何に困ったか」との問い(複数回答)には、「携帯電話・電話の不通」(57%)、「電車の運休・運行本数の減少」(41%)、買占め等による「食品・飲料水の不足」(24%)や、「計画停電の開始時刻・終了時刻が予測できない」(19%)など生活上の困難を挙げる回答が多かった。また、32%が「就職活動・選考活動の遅れ」を挙げており、企業が面接を延期したという記述もあった。

 外国人が災害にともなう不測の事態に遭遇した場合、日本人以上に戸惑うケースが多い。「災害時に頼れる身近な人はいるか」との問いには9割が「いる」と回答したものの、その内訳は「知人・友人」が76%、「家族・親族」が58%(複数回答)で、必ずしも近隣に住んでいるとは限らない。地震に遭遇して、「一人暮らしの留学生にはどうすることもできなかった」との声が出ており、非常時に孤立しがちな留学生の実情が垣間見える。地域のセーフティーネットワーク作りが課題として浮かび上がってくる。

 災害に備えて日ごろ何か対策をしているかとの問いには、6割が「していない」と回答している。今回初めて地震を体験した留学生は、「地震に慣れていない留学生のために、大学等で学生のための地震対処マニュアルがあれば助かる」と述べている。

 そのほか困ったこととしては、「母国の家族や親戚からの心配が激しく、説得するのに疲れた」という回答が目立った。「日本での情報と母国からの情報では違いがありましたか」との問いには73%が「ある」と回答し、具体的には「原発事故の問題を母国のほうが深刻に報道していた」など海外の「過大な報道」を指摘する声があった。そのほか、「日本の情報は遅く、政府の情報は曖昧で信用できない」など国内の情報発信のありかたを疑問視する声も多かった。

 今回の地震に関して「どの国の情報源を活用していますか」との問いには、67%が「日本の情報源」、24%が「日本と母国・第三国の両方」と回答している。手段はインターネットとテレビが圧倒的に多かった。

 日本の政府やメディアによる多言語を用いた海外への情報発信はまだ少ない。日本にいる外国人は日本と海外の報道を比較しながら冷静に状況を分析できるが、母国での報道にしか触れられない親族は不安が募り、その報道内容の違いが外国人の一時帰国に拍車を掛けた可能性が大きい。

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 ただ、帰国者の多くはあくまで一時的な退避をしたと考えてよいようだ。「今回の災害を機に今後の活動場所についての希望は変わったか」との問いに対しては、7割が「変わらない。引続き日本で勉強・仕事を続ける」と答えている。理由は「日本が好きだから」、「復旧の力になりたい」、「災害を通してやはりすばらしい国だと確信した」、「日本の力を信じている」など、日本への信頼と復興への期待を語る声が多かった。また、「日本で勉強・仕事を続けたいが不安もある」との回答は23%で、あわせると9割強が日本での生活を続けたいと考えていることが分かった。

 不安の具体的な内容としては、福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故や、政府の災害への対応の遅さを不安視する回答が多かった。

 事態の深刻さゆえに、日本にとどまる者と一時帰国する者が鮮明に分かれたようだ。各地の入国管理局では地震の直後に出国を求める外国人の長蛇の列ができ、長時間待っても申請ができない状態が続いた。法務省では、地震発生時に青森・岩手・宮城・福島・茨城にいた、あるいはそれらの県に外国人登録をしていた外国人を対象に、2011年8月31日まで在留期間を延長する措置を講じた。ただ、これら以外の地域に住む外国人にはこの措置は適用されず、中には入管窓口の混雑のため、「在留期限が間近な状態でも更新の申請すらできない」と困惑する留学生の声もあった。法務省によれば、「現在は各地の入国管理局は徐々に通常の状態を取り戻しつつある」とのことだ。


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