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向学新聞2022年4月号目次>日本で働く元留学生たち 何 穎詩さん

元留学生

向学新聞2022年4月1日号記事より>

日本で働く元留学生たち
何 穎詩さん
ニトリ中国現地法人  似鳥(中国)投資有限公司 教育研修部担当

問題を解決することが大切な経験

何 穎詩さん
名古屋大学大学院卒業後、2018年入社

―日本での留学生活はいかがでしたか。
 日本語学校で1年勉強した後に、大学院に進学して、メディア関係の勉強をしました。3年間はあっという間でした。アルバイトは中華料理屋と結婚式場でやりましたが、とても勉強になりました。特に結婚式場では、日本企業の接客に関する心構えや厳しい面を経験できました。



―就職活動はどのようにしましたか。
 もともと、中国の地元が好きだったので、日本で就職しようとは思っていませんでした。日本は良いところがたくさんありますが、一方でステレオタイプのようなところがあると感じ、自分には合わないかなと思ったからです。上下関係が厳しかったり、空気を読まないといけなかったりして、相性だと思いますが、自分はストレスがたまるのでは、と思いました。大学院は、個性的な人がたくさんいて、自由な雰囲気でとても居心地が良かったです。しかし、社会に出るとそうではないと感じます。同じ研究室の台湾の友達は、就職活動をしていましたがとても大変そうでした。論文をやりながら就職活動もしなくてはいけないので、日本語が母語ではない留学生にとっては大変なことだと思います。

 ニトリとの出会いは、その台湾の友達がニトリが中国人留学生を募集しているという情報を教えてくれたことがきっかけです。興味が湧いたのでホームページを見た時に、「人材育成の4C」というキーワードに込められた理念に共感して、この会社なら自分に合っているのではないかと思い、チャレンジしようと応募しました。

<ニトリの人材育成4C主義>
Change
Challenge
Competition 
Communication


何 穎詩さん,10%

―日本企業の海外現地法人での元留学生の活躍はいかがですか。
 ニトリは中国に出店を始めてまだ8年目です。ようやく、人材育成などの仕組みが整ってきたと感じています。日本と同じやり方を、中国でやって上手くいかなかったことがいくつかの点であり、今は中国に合ったやり方を進めているところです。例えば、日本ではニトリの認知度が高いので、土地が安い郊外を中心に出店しても、ニトリに行くためにお客様が足を運んでくださいます。しかし、認知度が低い中国で同じように出店しても、誰もわざわざ郊外まで足を運んでくれません。ですから、中国では都市部を中心に出店する方針に変えました。また、出店のスピードが速いので、昇進のスピードも日本と同じようにしていては間に合いません。日本では店長になるまで6年から10年ですが、中国では入社後早くて3年で店長を目指してもらいます。

 人材の面では、日本への留学経験がある社員は、日本語と日本の考え方を知っているので、幹部候補として期待が大きいです。ニトリに限らず、日本企業が海外に進出して、そこでビジネスを成功させるためには、日本で学び生活したことがある元留学生の活躍が必要だと感じます。

―後輩の留学生へメッセージをお願いします。
 仕事を始めたら、その時の気持ちだけで判断しないほうが良いです。以前、苦手だなと感じる上司と働いた時期がありました。でも、その上司は苦手でも、この会社のビジョンに共感して好きでしたし、まだやりたいこともあったので、自分の捉え方や上司への伝え方を工夫して変えてみました。そのうちその上司も、少しずつ良い方向に改善してくれました。このようなことはどの会社でも起こる可能性があります。合わないなと思う人がいたり、自分の思うようにいかない状況に直面します。ただ、そのたびに、辞めてしまい他の環境に変えたとしてもまたそこで似たようなことでつまずくことになりかねません。環境を変えることや相手に変わってほしいと考えるより、今の環境で自分のやり方・捉え方を工夫し、その問題を解決することができると、とても大切な経験になります。

 就職活動も仕事も、苦しいと感じることがあると思いますが、貴重な経験になります。いろいろな会社を知ったり、人と出会う機会があります。また、悩んだ時に、相談できる人がいることはとても大きいです。仕事を始めてからも、同僚とのつながり、友達とのつながりを大事にしておくと良いと思います。学生のときから、同じ国の友達とだけで交流するのではなく、日本人や他の国の留学生とも日頃から積極的にコミュニケーションをとると、日本語も上達し日本文化も理解できるし、幅広い視点・情報を得ることがきます。頑張ってください。


写真提供:何 穎詩さん、ニトリホールディングス

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